夢現
暫くフランクの店を手伝っていると昼食の時間になった。
「そろそろ休憩挟むぞ。飯食おうぜ」
とフランクが言ってきた。
「そういえば、ここの冷蔵庫の中基本的に飲み物だけだよな? 昨日はまだ食い物あったけど今日は何食うんだ? いや、これで何が食えるんだよ」
「店に行く決まってるだろ。だから飲み物しかいれてないんだよ」
「昨日はたまたまあったってことか? てかどこ行くの?」
「俺が飲みつぶれてた所だよ」
間髪入れずにアンディが
「やめろ。昼間から酒飲む気じゃないだろうな」
と返した。
「お前は俺のことそんなに信用出来んのか……。いくら俺でも仕事ある日の昼間から酒なんて飲まないよ。飯だけだ」
「……。ならいいんだが」
「絶対信用してないな! 今何でちょっと考えたんだ!」
「不毛な争いはよそう。早く飯食おうぜ」
ーーー昼食後ーーー
「さ、戻って仕事するか」
「まじで、酒飲まなかったな。疑って悪かったよ」
「もういいって、最初があれだったから仕方ないしな」
それを聞きアンディは、
……開き直ってるなこれ。言い過ぎたか?
と思った。
「ま、まあ、そういうことだ。仕事に戻ろうか」
そう言って、2人が店に戻っている途中でアンディは道に落ちている紙に気付く。
これ何だろ?
そしてその紙を拾い上げた。
「……賞金? 何の賞金のこと書いてあるんだ? 一等、二等、三等……。フランク、これなんだ?」
「何でお前がそれ持ってるんだよ? 拾ったのか?」
「そこで拾ったんだけど、何なのこれ?」
「宝くじだよ。周りに探してる人いないならもらっとけ」
そう言われアンディは周りを確認する。
その時であった。
空が、紫に染まった。
「あれ? どうなってんだ? 何で空が紫に? まだ昼だろ?」
フランクの声によりアンディも空の異変に気付く。
「……な、何なんだ? まさか、あの夢は……正夢だったのか? じゃあ……」
アンディの中でここ数日の奇妙な夢が何度も繰り返し再生される。
空を見上げながら夢の意味を考え、悩みに悩んでいるアンディは上空から降下する何かをとらえた。
「……あれは?」
その時、それは2つに分かれた。
その一方は小さく分かりづらい物であったが確かにアンディは見た。
「……隕石か? でも、それだけで空が紫になるのか?」
空の紫が薄らいで、青に戻った。
この時町の人の大半は今の現象について語り合っていたが、フランクは違った。
「さぁ、変な事も終わったし仕事しねーと明日から大変だぞ」
「……お前には余韻が無いのか?」
「無いな。今でも仕事がヤバイからこんぐらいで休めないんだよ」
「……悲しい事自分で言ってるんじゃ」
とアンディが呟いた。




