正夢
気がつくと部屋ではないどこかにいた。
そこは光のない暗闇で、雫の滴る音がどこかから響いている空間であった。
………………。
洞窟かどこかか? 多分また夢だよな? 何で、変な夢ばっかり見るんだ? とりあえず、歩くか。
そうアンディは考えた後歩き出した。
あてもなく暗い中を順調に進んでいくアンディ。アンディは順調に事が進んでいるのに違和感を覚えつつも「これは夢だ」と割り切り前進していた。
しかし暫く進んでいると異変に気付く。アンディに自身の足音が聞こえない事と周囲を何者かが動き回っている事に。
「誰だ!」
「………………」
返事はなかったが、確実に周囲の暗闇よりも黒い影が付近にいた。
その影が急に動きを止めた。
アンディはその影を見つめていた。その黒に引き込まれるアンディに様々な声が聞こえ出した。
しかしそれの大半は不鮮明ですぐにアンディは忘れてしまうものだったが、所々に鮮明で何度も反響し意図してアンディに印象付けさせているかのようなものがあった。
「……君はバカだ。………………。そんな単純なものに引っかかる方が悪い。……。……殺す……。………………君はいずれ死ぬ。……。分からないのかい……。君は……騙された。……死ぬ。………………。殺す。……死ねば終わりだ。……死……。……訪れる。……君は、終わりだ!」
……アンディは頭を強打した。
ーーーーー
「あら? 戻って来たのね。やっぱりあなたは変ね」
「……またここか。お前は誰なんだ?」
そこは前回の夢とは異なる場所であったが、話しかけてきたのは同じ存在であった。
「もう言う事は言ったはずよ。でも、あの事について話をした方がいいかもしれないわ」
「待て。まだ最後の言葉聞いて……」
「もうすぐ空が紫に染まるわ。それはきっとあなたの役に立つ。あなたはそれと出会う。必然的に。いずれまた会いましょ。本当の世界で」
「ちょっと待てって。まだ全部聞いてない」
「何の事? 私は1度言ったことを2度同じ言葉で言わないわ」
「それでも待ってくれよ。意味が、意味がよく分からないんだ」
「それはあなたが考え導き出す物事の話。人に頼らないで自分で自分を決めるのよ」
「頼む話を聞いてくれ」
「時間よ。頑張って探してね………を」
突然目の前が光り輝きアンディを包み込み、意識を消した。
ーーーーー
眼が覚めるとフランクがいた。
「寝過ぎだ。店手伝え」
いろいろあり状況がつかめなかったが、店内から音が聞こえなかったのでアンディは、
「……ここまで来る余裕があるし店は大変じゃないだろ」
と答えた。
「やっぱり最近酷くないか?」
「事実だからね」
「それが酷いんだよ」




