混乱
あの夢はどういう意味だったんだ?
あの妖精が言っていたのは、俺が記憶を探し求めてないということか?
いや、違う。俺は旅に必要な資金や物資、情報のためにここに残ってるだけだ。あの妖精達をシャドウと比べるのはよくないが、そういう類なら妖精は間違っている。
なら何ですぐそれを行動に移してないんだ?
大丈夫だ。先ず情報収集からはいるのが基本だ。間違ってない。
でも、俺は最近俺の記憶を求めてるか?
確かに、シャドウが恐ろしくて村を出てここまで来たが、ここから探せばいい。問題はないはずだ。
アンディは夢について考え、自問自答により現状の再確認をしていた。
すると、スーロ達のことを思い出した。
なら、何であいつらに一言も言わなかった?
違う。あいつらを危険に晒したくなかっただけだ。
俺は最近何をしようとしてるんだ?
俺は、俺は記憶を探してるんだ。そのために情報を集めたりでこの街に滞在してるだけだ。
俺は、お前は今何がしたいんだ?
それは……記憶を見つけることだ。
俺はシャドウが恐いのか?
恐い……けどすることしなきゃあんな奴に敵わない。
お前は何故記憶を探す。
俺は、じ……?
そこで気付く。
あれ? お前? ……何を考えて……。
否。
誰と話してたんだ?
シャドウが近くにいるのか?
アンディの呼吸が荒くなる。
考えていても仕方ないな。
いや、でも。駄目だ考えてもきりがない。近くにいてるならもう何をしたって終わりだ。ゆっくりしてもいいだろう。
でも近くにいないなら、ゆっくりすれば……終わる? あいつは……今……どこにいる? また逃げるのか? 駄目だ。おそらく奴は賢い。これが作戦ではないのか?
……俺に何もさせない為の、作戦かもしれない。
なら、でも、分からない。
結局俺は何をすればいいんだ?
アンディは過呼吸に陥った。
無理。分からない。何故。何で?
そう考えた瞬間、声が脳内に響く。
ーーーーー
人を過呼吸にする方法でも教えよっか?
ーーーーー
……誰の声だっけ?
ーーーーー
「人を過呼吸にする方法でも教えよっか?」
「何だよ、急に。いらないよ」
「いや、そんな変な雰囲気の職業してるからさ。何となくね」
ーーーーー
俺の、声も、あった。よな?
でもこんな会話誰としたっけ?
覚えて……もしかして、思い出したのか?
なら、俺の職業ってなんだったんだろ?
「おい、大丈夫か? 呼吸荒いぞ?」
フランクが突然声をかけてきた。
「だ、大丈夫。でも、まだ少し寝とくわ」
そう言ってアンディは夢の事や自分の事を考えずに思い出した内容だけを脳内に残してフランクに背を向けた。




