追跡
スーロとアーチは道具屋の前に居た。
「本当に入るの? ちょっと不気味だけど?」
スーロが問う。
「大丈夫大丈夫。中に婆さんが1人で入っていくのみたんだからさ」
とアーチは陽気に答えた。
それを聞きスーロは肩を落として返した。
「証明出来てないんだけど」
「婆さんが1人なのは安全な証拠! 入れ!」
と言いアーチはスーロを強引に店の中に入れた。
「あれ? 誰もいない。不用心だなあの婆さん」
「決め付けるなよ。奥に居てるんだろ。その前にこの店本当に婆さんの店か分からないけどな」
「すみません、婆さんいますか?」
スーロは
「何か聞き方おかしくないか?」
とアーチに聞いた。
「そうか?」
アーチの答えに対し
「先ずこの店が婆さんの店じゃないなら店員は困るだろ」
と返した。
「なるほど、じゃあ、店の……」
「何か用かい?」
アーチの声を遮るように奥から声が聞こえた。
「わ、びっくりした」
「最近の若いのは店に誰もいなかったら叫ぶのかい? うるさくて困るよ」
「すみません、うちのバカが。それより、最近の若いのって前に来たのはどんな人でした?」
「変な子だね、種族聞きたいなんて言ってきて」
「もしかしてアンディって名乗ってました?」
スーロが問うと、
「名前は聞いてないね」
とお婆さんは答えた。
「でも、ジョンの店を勧めたよ。あんた達あの子の知り合いかい?」
「ええ、友達です」
「なるほど、だからエルフの道具持ってたんだね、幾つか売ってもらったよ。ほらこれ」
「あ、確かにそうですね」
「でもさ、あんまり使わない道具だけど売るのひどくね?」
「お前は黙れ」
スーロの即答でアーチは黙った。
「そういえば、種族聞かれてちゃんと答えてなかったかもしれないね。あんた達知り合いだから次会う時に言ってやってあげて、あの婆さんはレプティリアンだ。ってね」
「レプティリアン?」
「あんた達エルフとは関わりないから知らないだろうね。みんなはリザードマンとしか呼ばないからからね。実際はリザードマンとレプティリアンの2種族いるだよ」
「なるほど。次アンディに会った時に伝えておきますね。それで、アンディはどんな感じでした?」
「んー、ちゃんと覚えてないから、覚えてる範囲で言うけど構わない?」
「いいですよ」
ーーーーー
同刻アンディにて。
「そういえば、色を変える魔法ってある?」
「……急にどうした? 多分あったけど教えられないからな」
「それってさ、周りの色に合わせて同化するなんて事も可能? 例えば完全に視認出来ない様にするとか」
「そこまで高度な技術あるか知らないが、あっても一般化出来ない代物だな。でも、どうして?」
「いや、実は前に色を変えて動いてるローブの人見たんだけど、最後は完全に消えたんだよ。なんか歪んだなと思ったら消えてたんだよな」
「俺の知ってる魔法では無理だな」
「じゃあ、瞬間移動は?」
「瞬間移動? 出来るわけないだろ。そんなの化学でも魔法でも無理だよ」
「じゃあさ……」
アンディの質問を遮ってフランクは言った。
「もう質問は受け付けない。お前は質問し過ぎだよ。そんなに知りたいなら情報屋行ってこい」
「へーへー。店の手伝いに戻りますよー」
アンディは拗ねた。
ーーーーー
スーロ達にて。
「ってとこかな」
「ありがとうございました。また何かあればよろしくお願いします。では」




