鍛冶
「じゃあその本業見せてよ」
アンディが訪ねた。
「お、アンディ見てみたいのか? いいよ見せてやる」
そう言うとフランクは材料を集め作業を開始した。
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アンディは暫く無言でその作業を見ていた。
酔い潰れて無責任に自分を連れてきて眠ってしまう『適当なおっさん』というイメージをアンディはフランクに持っていたが、その作業を見、考えを改めた。
何故なら自身の持つ『適当なおっさん』のイメージでは到底出来ない様な繊細で洗練された動きをしていたからだ。
「なぁ、フランクって凄いんだな……。変なおっさんのイメージ消すよ」
「凄いわけないだろ。俺が凄かったらもっとガッポガッポ儲けてるよ。てか、変なおっさんって何だよ、ひどいな」
返事を返すが動きに変化はない。
「みんながバカなだけだよ。ちゃんと見ればフランクが凄いって分かるはずだよ」
「そういうもんか? それでもし儲かるなら今度何かしてみたいよ」
「すればいいさ。俺が保証するよ」
「べた褒めじゃないか。嬉しいね。言葉だけもらっとくよ」
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暫くし作業が終わり、武器が完成した。
それを見てアンディは前言を撤回したくなった。
その武器はしっかりと作られているが異様な形で見たことない代物だったからだ。
「そういや、販売されてる武器にも変な形の武器があったな。何でそんなのばっかり作るんだ?」
「理由何て特にないさ、不満か? 俺はちゃんと使える武器を作ってるけどみんな見た目で判断しちまうだけだ」
「そら、普通が1番だからな」
「ただ、俺にも資金があっていろんな素材を使えたら、もっと素材を生かした武器を、古くからの伝統に俺の技術が注がれた一品を作れるのにな。あー、作ってみたいぜそんなのを」
「……おっさんにも夢があるんだな」
「おっさんじゃなくてフランクって呼んでくれよ。その台詞がおっさんは夢持つなっていう嫌味に聞こえちまう」
「あ、悪い悪い。気をつけるよ。……なぁ、俺暫くここでいろいろしようと思ってたんだけど、フランクの話聞いたら手伝いたくなった。技術はあると思う。だから俺も何かして金稼いで素材集めて本当に凄い武器を、フランクの作る凄い武器を見たくなったよ」
「ありがたいけどよ、本当にいいのか? 何のあてもないよ」
「いいよ、俺が決めたんだ。俺がしたいと思ったからね。ただ……」
「ただ、何だ?」
「余り酔い潰れないでくれ。後々面倒臭そうだ」
「……分かった。気をつけるよ……」
どこか残念そうに言うフランク。
「じゃあいろいろこの町のこと聞かせてくれ」
「いいよ。ただし、お前のことを聞かせてくれたらな」
「分かった。気になるよな。大事だと思うこと言っていくからその後で質問してくれ」
こうしてアンディとフランクはフランクの夢のために動き出した。




