二人
今回はスーロとアーチの話です。
皆さん忘れてないですよね。
現在アンディを追う、スーロとアーチはちょうど森から出た所にいた。
「なぁ、どう思う?」
沈黙を破るアーチ。
「何が?」
「アンディだよ。さっきもりを出る時妖精に話聞いただろ? おかしくなかったか?」
「確かにな。妖精があんな頻繁に難しい言葉使わないからな。多分アンディに恐怖心か何かがあったんだろ。そうでもなきゃ『鬼気迫る形相の男性が死に物狂いで駆けていった』っておかしな台詞はないだろ」
「だよな、だよな。俺何言われてんのかすぐ分かんなかったし」
「それはお前がバカだからだ。でもな、時間は分からないって言われたけど、結構前だって分かるし、あいつはかなりの速さで進んでるな」
「かなりってどれくらい?」
「知るか。ただ、少なくとも俺たちが追い付けない速さってことは分かるな」
「じゃあさ、俺らも急がないとダメなんじゃ?」
「今さら遅いよ。そんなことするぐらいならゆっくりでもいいから確実にアンディのいる方に行くべきだ。アンディだって生きてるんだから疲れを感じない訳がない。それにあいつは好奇心が強いからどこかで暫く立ち止まることもあるだろうしな」
「でも、このペース遅くない?」
「遅くない。おそらくアンディは夜もある程度進んでるはずだから余計に速く進んでる様に感じるだけだから大丈夫」
「お前の理屈理解出来ないよ」
「信じろ。絶対大丈夫だ。無理に追う必要はない。アンディには俺たちから離れた理由がある。だから余計にすぐ会うのはまずい」
「何か……焦ってないか?」
「……ならちゃんと言うけど、何故か急いだらダメな気がするんだ。何の根拠もないんだけど……ね」
「変になってんじゃないか? もうすぐ町だしそこで休もう」
「そうだな。そうしよう。何か今俺アンディみたいだな。樹々の所へ行く時のアンディもこんな気分だったのかな」
ーーーーー
暫くしティカリットに到着した。
そして例の情報屋を見つけた。
「すみません、ここに変な被り物した男来たことありますか?」
「変な被り物ですか? ならあそこにいますが?」
そこには頭の何倍もの大きさの奇妙な帽子を被った男がいた。
「………………。」
困る一同。
「やっぱり違いますね。もっと他の特徴ありますか?」
「砂漠に行く時被るものだよ。で、身長は俺と同じぐらいだな」
「……砂漠、砂漠でしたらティカリット本国への迂回路で砂漠経由で向かった人がいましたね。それっぽいもの被ってましたしね」
「名前とかは分かるか? 後どんな情報を聞いていったかとかは?」
「えー、名前は知りませんが、質問ならよく覚えてますよ。少しおかしなことが多かったので。言語がどうとか通貨がどうとかってね。おかしいでしょう?」
「なぁアーチこいつは当たりだ。こんなこと聞くのは絶対アンディだ!」
「え、何で分かるの? 変人かもしれないじゃん」
「もういいよ。とりあえず、アンディはこっちに進んだんだ。ならトンネルで行けば先に着くかもしれないぞ。なぁ、トンネルはどれくらいでなおるんだ?」
「ティカリット本国へのトンネルでしたら明日の昼頃には一応通れる様にはなりますね」
「よし、アーチこれで決まったな。今日はとりあえず休んで、明日ティカリットへ出発だ」
「何かよく分かんないんだけど、任せるよ。てか急いだらダメとか言ってなかった?」
「多分あれはこのことだったんだよ。ちょうどいい日にここに着いたし、流石にアンディもまだ着いてないだろうしね」
「まぁ、お前が納得してるならいいよ。よーし、アンディに会えたら尋問だ!」
「尋問ってなんか怖いな」
「そうか?」
「そうだよ」
スーロ達はこの日泊まる宿を見つけ、眠りについた。




