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Splitting Branch  作者: hadron river
24/65

秘密

前回の説明会のお詫びに今回少し長めです。

はい。

「これだな。……やっぱり昨日無かったよな? 街の人は気にしてないみたいだけど、結構店に近いけど怒られないのか?」


そう言ってアンディはそのテントの様なものに入って行った。


そこにはカーテンの向こうから手だけを出し机に乗せている人物が1人だけいた。


「ようこそ、無法者。やはり来ると思いましたよ」


アンディはその挨拶の意味が理解出来ずに硬直する。


「私、何かおかしなこと言いましたか?」


待て、待て待て。俺の事を無法者って言ったよな? 何なんだこいつは? 探り入れるしかないな。

とアンディは決定する。


「いや、何でもない。ただ、いきなり無法者とは失礼じゃないか? 俺は犯罪者じゃない、……何の罪も犯してないぞ?」


「あれ? その次元の話ではないのですが、あなたは既に知っているはずですよ。知らないなら少し話が面倒臭いのですが」


「どこまで知ってる?」


「全てだと思います。あ、いえ、全てです」


この時アンディの脳内に空想の影が放った言葉が反響する。


ーーーーー

「君の事なら何でも知ってるよ」

ーーーーー

瞬間アンディは問う。

「どっちだ?」


「え?」


「影なのか?」


「違うと言えば違うし同じと言えば同じなのでは?」


「曖昧過ぎるぞ。ならお前は何なんだ」


「あ、説明まだでしたね。私は占い師です。ここでは占いをしてます」


「お前の事は信用出来んがどれくらい当たる? それに今そんな事してる暇はないが俺はお前が心配で何かしなければならないんだ」


「未来を見えます。そうですね、何かして信頼してもらはないといけないですね」


占い師は少し目を瞑り考え出した。

すると突然口が開く。


「右手を……

ーーーーー

まさにその瞬間。

ーーーーー


……頭の後ろ……


ーーーーー

アンディは右手を挙げる。

ーーーーー

……に運ぶ」


完璧な同時。

刹那の狂いもなく、アンディの動作と占い師の言葉が一致した。

驚愕するアンディを横に占い師は語り始める。


「未来が見えると言っても細かい時間が分からなかったので、タイミング合わせるの難しかったですよ。先に言うと動き止める人もいるでしょう? でも後で言っても信用ないし、ならやっぱり同時かなと思いましてね。さっきは同時を意識して『右手を頭の後ろに運ぶ』としか言えませんでしたが、細かく言えば『頭をかく』ですよね」


「あ、ああ、そうだな」


「……あのまだ信頼されてませんか?」


「いや、そうじゃない。ただ、少し驚いただけだ。確かに未来見えるみたいだから俺の未来を占ってくれよ」


「そうですね。さっきの手とは違う種類の未来を見ますね」


「ん? よく分からないな。と言うかそこから出てこなくて大丈夫なのか? それに俺の事見えてるのか?」


「大丈夫です。見なくても未来は見えますから安心してください」


「ならいいんだけどよ。やっぱり影か気になるから姿だせよ」

自身の理解を超える存在を前に少し混乱しているアンディはカーテンを開ける。

「え?」

アンディは外に居た。後ろにはテントがない。しかし手には確かな布の感触があり、手を離すとようやくテントを認識した。

アンディは一瞬硬直しテントをめくろうとするが上がらない。


「ちゃんと正面から入れって事か」


テントの仕組みを何となく理解し正面から再び入るアンディ。


「そんな人とは思ってませんでしたよ。一応言いますが、私はあなた達には理解出来ません。認識出来ません」


「あなた達? つまり魔法ではないと?」


「え、あ、はい。そう言えばあなたはそうでしたね。では占いますよ」

一息つき一気に占いの内容を語り始めた。

「あなたは必ず歴史の分岐点に現れます。いつのあなたの因縁かは分かりませんが直接的間接的問わず必ず解決されます。それがどちらに有益かは教えませんがね。そしてあなたは無事元に戻るでしょう。これがあなたの個人的なものです。次に少し広げましょうか」

また一息ついた後語る。

「大きな衝突がいずれ起きます。それはとても大きなものです。そしておそらくあなたは中心にいます。あなたの行動次第でどちらにでも傾き得るものではありますが、とてつもなく大きなものがあなた個人の天秤にかけられます。あなたはそれまでに必ず何か大きな事といくつかの小さな事を成し遂げなければなりません。それまでの間あなたが生きていればの話ですけどね」


この時アンディの脳内では自身の記憶のある限りが延々と回り続け様々な文字列が並んだ。

しかし記憶の内では到底解けない難問であった。


「待て、俺は死ぬのか?」


「死に得る存在です。未来というものは大きく分けて2つあります。あなたは特別なので言いますが、変えられる未来と変えられない未来です。もちろんどれがどれかは教えません」


「そうか、ならもう聞く事は無いか。それじゃあ、もう行くわ」


「もう行かれるのですか。残念です。またどこかでお会いできればお会いしましょう。最後に二言あなたは今複数人に追われています。そしてもう一つは夢中になり過ぎないように注意してください」


「ま、待って追われてる? 影にか?」


「そこまで分かりませんが、確実に複数人ですね」


「そうか、分かった。気をつけるよ」

テントを出たアンディは急ごうとした。


「やはりこちらは慣れないな」


テントから出てまず聞こえた声に緊張が走ったが、そちらを向き確認すると飲み屋で飲んでる怪我をしてる男が2名いた。


「何だ、ただの義手か義足の話か」


その時アンディは遠目ではあるが確かに怪しい人影を見た。


あいつは何なんだ? フード? いや、ローブか?

何で黄色何だ? 目立つだろ? でもここは砂漠だし目立たないか? 少しつけてみよう。

アンディはたくさんの疑問を自身の好奇心で押さえ込み、同時に不安心も拭い去った。


暫く尾行し、レンガ街等の後路地裏に着き異変に気付く。


おかしい。あの服何回色を変えた? 最初は黄色。レンガ街では赤。今は灰色に近い黒。明らかに目立たない色に変色している! 何かヤバイ奴なんじゃないのか? 逃げるか? いや、真相を確かめよう。


そう考えていると、その人物の周囲がぼやけて消えた。


嘘だろ。あり得ない。関わらなくてよかったのか? 分からない。とりあえずここは諦めて早く出発しよう。

そうアンディは自身を落ち着かせ、脳内を整理した後ティカリットへ向けて出発した。

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