情報屋 Ⅱ
「あの、お客さん? 私の話聞いてました?」
「ああ、聞いてたよ。俺の事情は執念に詮索しないんだろ? でもまぁ、世界を見てみたいんだよね」
「いえいえ、お客さんは珍しいお客さんですので私の調子が少し狂ってしまって……もちろん責任は私にありますから」
「……そうか、反応し辛いな。……で、その砂漠のティカリットに行くにはどうすればいい? 道なんかあるのか?」
「そうですねぇ。道はあることはあるんですが、最近の地震やら暴風やらで砂漠の中にある道はおそらく砂に埋もれてますね」
「じゃあ、砂漠からはどうすればいいんだ?」
「どうしても行きたいのならコンパスでも買われますか? その、ここで」
「何で躊躇うんだ?」
「いえ、これ最近ようやく仕入れた物でして、しかも少し高価な物なんですよ。それに加えて調べたわけではないのでまだ分かりませんが、コンパスがあるのは今はここだけなんですよね
、多分」
「それだけの理由で躊躇ってるのか?」
「えぇ、この店は情報以外の物は出来る限り安く販売してまして、安いものと情報でたくさんお客さんを呼び込もうというわけなんですが、こんな高い物店に飾って欲しい人が来るまで置いておく予定だったんですよ」
「躊躇う理由あるか?」
「初めて来た人にこんな物売り付けて私的にも店的にも評判とかその他諸々大丈夫なのかと迷いがありまして、その、どうしても欲しいですか?」
「それがあれば楽なんだろ? なら買うよ」
「分かりました。でしたら代金は後ほどまとめていただきますね」
「分かった。あとさ、魔法ってあるだろ?」
「はい」
店員はまた変な質問がくるな。
と身構えた。
「あれにはどんな法則や種類があるんだ?」
店員は
やっぱり、変だ。
と思った。
「お客さん本当に変わってますね。私、あまり魔法を使いませんしちゃんと習ったりしていないので詳しい事は分かりませんが、物質を用意して行なうものもあれば、決まった動作等特定の条件を満たすと行なえるものもありますね。後、噂で聞いただけなんですがイメージから出来る魔法もあるらしいですね」
「それ以外だけか?」
「私はそれしか知りませんよ。法則については私もよく分かりませんね」
「魔法の事でもう1つ質問。別の法則を変質させるものはあるか? 例えば重力を何か別の法則、そうだな熱でも何でもいいけど変える事は可能か?」
「どうなんでしょう。私も分かりませんね。でももしそれを普通に出来るなら世界征服がすでにされてる可能性がありますから出来ないんじゃないでしょうか。すみません、情報で商売してるのに魔法について何も知らなくて。もしも魔法について詳しく知りたいなら魔導国家とかありますからそこに行ってもいいと思いますよ」
「なるほどね。うんこれぐらいでいいかな」
「はい。ありがとうございました。あの、確認しますが砂漠にその水筒だけで行くのですか? もしよければ1つ差し上げましょうか? 全く売れなくて困ってたんですよ」
「金はいいってことか? 本当にいいのか?」
「ええ、お客さんは高い物買われましたし、お客さんの質問からまだまだ学ぶことがあると思いましたしね」
「ならありがたく貰うことにするよ」
店員は奥から水筒を持って来てアンディに渡した。
そしてアンディはお金を払い終え店を出た。
「砂漠……か。」
そう言ってアンディは自分の身に着けているカフィーヤの様な物に触れた。
「丁度いいのかもしれないな」
そう呟くと1度目を閉じ、考えて、脳内を整理した後、目を開けた。
「水も十分あるし、先ずは道なりに進めばいいんだよな」
アンディは砂漠へ向かい始めた。