情報屋
それにしても、水くらいなかったのかなあの婆さん? あ、名前聞いてなかったな。種族に気を取られたな。今度から気を付けよう。あれ? てか、種族名結局リザードマンしか言ってないよな? 結局あの婆さん何が言いたかったんだ?
そうアンディが考えていると、
ん? これか? うん、これだな、ジョンの店。
と店まで来ているのに気が付いた。
「すみません、水ありますか?」
「いらっしゃい。お客さん水だけでいいのかい?」
「まず水。後は何でもいいから情報もらえるか?」
「水はタダだが、情報なら量や質に応じて金を貰いますが?」
「大丈夫だ。なあ、水がタダなら水筒に補給してもいいのか?」
「いいですよ。この街は水が豊富ですから。それにここは飲みながら皆んなが情報を交換する場所ですから」
「情報交換の場なのに金は取るのか?」
「いえ、お客さん同士では自由という意味でして、情報に質を求める方のために我々店員が情報を提供していてそちらは金が必要になるという訳です」
「なるほどな。確かに今はほとんど客いないしな」
そう言いながらアンディは店内を見渡した。
「では、すぐに水をお持ちしますね」
ーーーーー
「はぁ。やっとのめたよ。やっぱり水って生きていくのには必要だよな」
そう言ってアンディはじっと水の入ったコップを見つめていた。
……前に誰かとこんな話をしたような気がする。もしもこの違和感が俺の記憶と関係があるなら……俺は何をしてたんだろ?
「お客さん。情報はどんな情報にします?」
「ん? あ、あぁ、そうだな。とりあえずここから1番近い大国、誰でも受け入れる大国はどこでどんな国だ? それから金はどこでもこれでいいのか? あと、今言葉が通じてるようだが、言語の分布はどんな感じだ?」
「言語? どこでもいっしょですが、お客さん大丈夫ですよね? そんな質問あること自体不思議ですよ」
は? 言語の壁がない? まあ、好都合だな。こっちに着いて急に疑問になったが変な奴扱いされるならスーロ達に聞いとけば良かったな。
「お客さん、もしかしてエルフですか? 地理の質問もあまり聞きませんよ」
「ん? そんなもんだと思ってくれ」
「まあ、こちらとしてもお客さんの情報は執拗には聞きませんので安心してください。えー、お客さんの質問は大国と金でしたね。金もほとんどこれで大丈夫ですね。大国と少しかぶりますが、ここは貿易大国ティカリットの飛地のようなものでして、他国も貿易での有利性をとるため本国ティカリットと通貨を揃えてるんです。」
「なるほどな。で、ここから1番近い大国がそのティカリットって国なんだな?」
「ええ。ですが、少し問題がありまして。」
「なんだ問題って?」
「2、3日程前の話なんですがね。交易路が……地図を見せた方が早いですね。」
そういうと店員は店の奥へ行き地図を持って戻ってきた。
「ここの山脈にあるトンネルが2、3日前の地震で塞がれまして、今直してる途中なんですがね。これが思いの外大変で1週間は余裕で掛かるそうで。もしティカリットへ行きたいのでしたら、森の方からかこちらの砂漠の方からですね。お客さんはエルフらしいので森の方が慣れてると思いますのでこちらを勧めますが、いかがしますか?」
「……砂漠……か。その砂漠には何かあるのか?」
「ええ、ここと同じくティカリットの飛地がありますよ」
「よし、分かった。なら砂漠から行く」
何か、国のネーミングセンスない気がします。
これからも気にせず読んでください。
はい。