疑問
昨日は建国記念日でしたね。
それだけですけどね。はい。
「おはよう! どーしたスーロ! 暗いぞ!」
「バカは黙っとけ! アンディが、いないんだよ」
「へ?」
「だからアンディが家どころかこの付近にはいないんだよ!」
「え?」
「あー、もう、鬱陶しい。いいから探すぞ」
「あ、お、おぉ!」
彼らはアンディを探した。
先ずは自分達のいる区画から、そして他の区画や森の方も、探した。
しかしアンディは見つからず最後の区画、第7区画、村長の所へと向かった。
「だーかーらー、村長と話がしたいんだって!」
「ですから、まだ朝の早いこの時間、村長様は起きておられないので後ほどと申しているのです」
「だーかーらー、そ、ん、ちょ、う、を出せって言ってんの!」
「ですから!」
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「あー、やっと追いついた。あ! あのバカやっちゃってるよ。仕方ないな」
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「だー、かー、らッ!」
アーチは後頭部にものすごい衝撃を感じた。
「すみません、うちのバカが。後ほどですね」
「……は、はい! ですので、このままこの近くにおられるのでしたら村長様の準備が出来次第、声をお掛けします」
「その必要はもうない。騒がしいので起きてしまった。それから前にも言っておいたはずだが、緊急の連絡は何があっても通せ、と」
「あ、はい。しかし彼ら、と言うか彼は要件を伝えずに村長を出せと一方的におっしゃるので、これは苦情の類に違いないと思い断った次第で御座います」
「あー、前にも言ったが丁寧に話す必要はない。皆が平等だ」
「し、しかし最早癖で御座いまして、直しようが御座いません」
村長は落胆した。
何で私達エルフはこうも個性が豊か過ぎて自由過ぎるのか? と。
「まあ、よい。入れ。急用であろう?」
3名がある部屋でそれぞれ腰を掛けた。
「アンディが、姿を消しました……。ここには来ていませんね?」
スーロが先ず沈黙を破る。
「そうか。彼は来ていないな。何か変わった事は?」
「薪を集めて帰ってきたらにアーチに仕事押し付けたのが可哀想とか、晩飯の時に全く話をしなかったり、昨日はおかしな所はありました」
「え? まじ? 俺を心配してたの?」
「黙れ」
アーチは黙った。
「森に何かあったのか?」
「分かりません」
「何も分からぬ状況……か。まだ本も見せていないというのに時が悪過ぎたか。仕方ない、こちらでもアンディの捜索をする。心当たり等の情報はどんどん共有しようではないか。」
「……はい。分かりました」
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「アンディの事どう思う?」
「え? いや、何か、俺らに何の相談もしないから俺らのこと嫌いなのかなーって」
「多分アンディは記憶に繋がる何かを見つけたんだ。でも、俺らに相談して迷惑はかけれない状況だったんだと思う」
「え、無視? 俺の意見は?」
「つまり、お前の意見の逆だ。嫌いだからじゃない、好きだから迷惑がかけれなくて出て行くことにしたんだよ」
「あ、結局ハズレか」
「お前は俺の仮説を聞いた上でどうしたいと思ってる?」
「アンディに、説教ーだー!」
「ハハ、それもいいな。その為に俺らがすることは?」
「アンディ探し」
「そうだ! だから、村長の捜索を1週間程待つ。場合によって早めるけど、それで見つからないってことはアンディは完全にエルフや樹々の生息圏外にいる!」
「なるほど! じゃあ、それに向けて準備だな!」
「あぁ!」
スーロとアーチのアンディ探しの旅が決まった。
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激しい息切れが周囲に響く。