訪問
3名はなんとか残りの村民を説得し家にスーロの辿り着いた。
「あれってノージかな?」
アンディが窓から外を見て、異常な数の人が集まっている場を指した。
「どれ? あ、聞くまでもなかったな。あそこノージの家に近いし、多分そうだろ」
「やっぱり悪い事したのかもね。ん? アーチお願いだから俺を敵視しないで」
「やだよ! だって親友のスーロだって俺をいじめるし、いい人かもと思ってたらスーロに似てきて子供に酷い事するし、いつ自分がそういじめるられるか分かんねーし、こえーよ」
「俺がいつ子供いじめたよ?」
とスーロが
「いやいや、俺がやるまでもなくスーロがツッコミ入れるから問題ないよ」
とアンディがそれぞれ言った。
「こえーよお前ら。スーロは自覚ねーし、アンディはスーロと同じだって言ってくるし、やめてくれよ!」
一方、村のある1区画では。
「村長。聞きましたか?」
「噂になってる少年の事かな?」
「はい。実は、私、今、とっても、彼が気になって質問しに行きたいのです」
少し言葉に詰まり、相手を見て村長は言った。
「……第1区画長殿、冗談はやめてください。まあ、彼の事は気にしなくていいと思いますが、スーロとアーチという少年達は噂の少年と共に森へ出て行くのが確認されています」
「それは、どちらの方面でございましょうか?」
「それが、第3区画から。つまり、樹々の方だ」
「何と!」
その場にいた全名が驚いた。
「そ、その様な事態が起こってよろしいのでしょうか?」
「それを今話し合うのですよ。第5区画長殿。」
「それにしても、やはり第なんたら区画長とは長いと思うのは私だけでしょうか?」
少し落胆しながら村長が言う。
「ですから冗談はやめてもらえますか?」
「うむ、冗談はよした方がいいですよ第3区画長。しかし私も同意見ですね」
「御二方がそうであり、私もそうである様に、やはり皆様そう思っておられるのですね」
村長がまた落胆しながら言う。
「あの、ですから、噂の少年とエルフの少年2名についての話し合いですよ。話しを戻しましょう」
………………。
数十分後、スーロ宅にて。
「あな、騒ぎが落ち着いたのはいいが、あれは何だ?」
アンディの問いにスーロが答えた。
「ん? あー、あれは村長だな。どこ向かってんだろ?」
「え? こっち向かってないか?」
「……確かに。でも、ここが目的地とは限らないだろ?」
その途端アーチが叫びながら家に入って来た。
「やべーよ。村長ここに向かってるよ!」
それを聞いてスーロが
「うん、これで確かだ。」
そしてアンディが
「何で知ってんだ?」
と言った。
「いや、さっきみんなが掲示板見てて、速報にのってたんだよ。『新たな訪問者の元へ事情聴取』って。それにみんなが区画長から伝令でまわしてたから」
「なあ、それっておかしくないか?」
スーロの問いに対しアーチが聞く。
「何で?」
「だって今までも新しい人の所に村長や区画長が私的公的問わず行って質問することはあったけどよ。伝令だけで掲示板の速報にはのることなかったし、事情聴取何て言い回し使ってなかったぞ」
「あ、確かに」
「じゃあさ、ばれてるんだろ。俺らが樹の所に行ったのが」
とアンディが2人の会話に入り込んだ。
「何でそう思う?」
「だって、アーチの言い方だと速報の文は事情聴取を受けるのは俺だと断定していない。『訪問者の元へ』って何かおかしいだろ? 俺なら『訪問者に』にするけどな」
「確かにそうだな。どうする?」
「バカかお前は、速報にもなってるし、伝令もまわってるし、村長が来てるんだぞ。あれ? でも、その割には伝令遅いな。」
「あ、それは俺が伝えるからもういいって言ったからかも」
「他には?」
「え、あの、その、ノージ見かけたから、その、慰めてました」
「それだけか? 他は?」
「いや、その、お、お前らの文句も、少々……だけ、かな?」
「やっぱりな。てか、もう村長すぐそこだ」
「さーて、そろそろか。アーチはあんま喋るなよ。変なこと言って話がおかしくなったら嫌だし。メインは俺で、次に樹の話がくると思うから、もう全部素直に話そう。その方が後々楽だろ。後、もしお前らか最悪俺が罪背負いそうになったら、スーロ止めてくれよな」
およそ3分後村長とアンディら3名による会談が行われた。
作中に何名か区画長を書きましたが、一応自分の中ではエルフの村は第7区画まであって、そして第7区画は政治的な建物しかないって設定にしてます。ですから実質、区画長は第6までで、第7区画長は村長になります。