帰村
何で俺は大丈夫で、影は駄目なんだ? 多分、両方同じ無法者なのに。
そう思うが声には出さない。
「じゃあ、また何かあったら頼む。まあ、まだ信頼出来てないなら何もしなくていいけど」
「少なくとも私はお前を信頼した。だからこれからは気軽に迎え入れよう。では、何か情報を掴めたら提供してくれるとありがたい」
何か、ってどうせ影のことだろ?
と、アンディは思う。
しかしアンディは「まあ、近くにいるならな」と少し濁した。
やはり、お前は無法者なのだな。
そう思う最高長を後にアンディら3名はその場から帰って行った。
「なあ、アンディ。お前はこれからどーすんの?」とスーロが聞いた。
「んー。まあ、暫くは一緒にいるつもりだけど、何でだ?」
「いや、急にいろんな情報手に入れたし、俺らからはもう記憶取り戻すためにすることなくなったし、気になっただけだよ。」
そういう明るい雰囲気で彼らが帰っていると、彼らの予想外の早さで村に到着することになった。
「あれって、村だよな?」
アンディがそう尋ねると、
「ああ、そうだな。案外早く着いたな」
とスーロが答え、
「いやいや、いくらなんでも早過ぎでしょ! 俺の時はこんなに早くないよ!」
とアーチも続けて言った。
「多分、これが本来の距離なのかもしれないな」
そうアンディが言うと。
「あ! アーチだ! ねー、どこ行ってたの?」
と、子どもの声が聞こえた。
「おー、ノージじゃねーか。何してんだよ?」
ノージ? それって前のアーチの名前じゃ……。
そう、アンディが思いつつ聞いた。
「なあ、スーロ。あそこで盛り上がってる2人は兄弟か? ノージって確かアーチの前の名前だよな?」
「兄弟じゃないけど、家が隣……いや、多分アーチの頭の中が子どもなんだろ。だからかな、アーチは他の子どもとも仲がいいんだよな」
と答えた。
「ねー、アーチ。あそこの人、誰? 僕見たことないよ?」
「ああ、あいつはアンディって言って……。えーと、なんて言ったらいいんだろ? スーロ助けて!」
短くため息をつくとスーロが話し出した。
「彼はアンディ。道に迷っちゃってて、たまたまそこで俺らと会ったんだよ。で、道案内して助けてあげたんだよ」
アーチは、
いいよな。こんなスラスラ嘘つけて。ん? でも、嘘でもないな。んー、何でこんないろいろできるんだよ!
と半ば投げやりな感じで思いつつ、
「そ、そうなんだよね。ちょうど助けてたところなんだよねー」
と言った。
「へー、アンディはどっから来たの? 教えて教えて!」
「ん? そんなに俺が気になるのか?」
「うん!」
と元気よく言われたので、
「じゃあ、質問してきていいよ。答えてあげるから」
と答えた。