秘密
明日は成人の日ですね。成人のみなさんおめでとうございます。そうでないみなさんは、前書き無視で本文へどうぞ。
明日祝日だからと言って投稿はしません。
祝う年齢と違いますので……。
はい。
「いや、やはりお前への情報提供は危険か?」
「聞くな。お前がここの1番のお偉いさんなんだろ? そんなに決断力がなくて大丈夫なのか?」
「嵐だよ。今、私の中に嵐がある。それの対処次第で運命が変わる。そんな気が……」
「迷ってるなら俺が聞く。俺の過去を見たなら、耳については何も分からなかったのか?」
「事故。……事故としか言いようがないな。事故に覚えはないか?」
「事故? それで川に? どんな事故だ? 全く分からん」
「かなりひどい事故だよ。衝撃はなんとなく分かったが、……よく、生き延びていたものだな」
「え? そんなにひどかったのか?」
「私の感覚は常識ではあり得ない事故と判断してる」
「じゃあ、俺は死んでたかもしれないのか? なら、もう何も恐れなくていいよな? 今は覚えてないけど、死に近づくの恐怖を体験したなら、もう何を知ってもいいよ。どうせいつかその体験を思い出すだろ」
何か、悟ったか?
そう最高長は思いつつ言う。
「ならば、こちらから問おう」
この時の最高長の動きはアンディは目を見開き顔を近づけた様に感じていたが、
否、
その場のアンディと最高長以外には最高長は全く動いていない様に見えていた。
しかし、それは最高長固有の能力によるものであり、そしてそれは能力の対象者にのみ第三の眼とでも言う様なものを見せ、その眼が術者の欲する情報を対象者から取り出し、その眼に映る情報を対象者に読みとらせるものである。
しかし、それは術者と対象者の両名に信頼があること、もしくは幻術により対象者その情報を得られる確証がある時にのみ使えるものであった。
そしてその能力は術者と対象者のみが知ることの出来るものであった。
つまり、今までは最高長のみが知っていた。秘密の能力。
「何だよ、これは」
しかし確かにその効力は優れているものであった。
「何が見えた?」
「さっき言われてた事故だと思うけど、何で浮いてたんだ? それにまだ途切れて分からないところがあるし」
「何だと? これでも全てを見ることが出来ないのか? もう、私からお前の過去の情報は渡すことは出来ない。……お前の過去をいくつか覗いてみたが、そうだな、我々の昔からの言い伝えに従う事にしよう。もちろん私個人としても十分に安全だと判断したうえでのことだ。だから、我々はお前の味方だと思え」
「言い伝え? どんなだ?」
「………………、無法者には親切に」
「え? どういう意味だ? というか俺が無法者に見えるのか?」
「私の意見だが、この世の理からどこか外れている。いや、何かがという方が適切なのかもしれない。そんな感じだ」
「なら、俺に必要だと思う情報をくれ! ある意味お前が俺を1番理解してるからな」
そこから暫くは全名での情報交換が主だった。
そしてそれが終わり数秒の間に最高長にかけられた言葉にアンディが少し硬直する。
「もう、秘密はないのか?」
無言で歩みを再開させるアンディ。
「あるなら、早い方がいいぞ」
一瞬最高長を見て、諦める。
「……おそらく、笑う影は無法者」
「そうか、なら影に気をつけろ」
その時、アンディは最高長の言葉の意味が分からないでいた。