赤髪の少女
馬車に揺られること30分。カイトたちはようやくレインスノートにたどり着いた。
さっそくロナウドが盗賊団に襲われたことを知らせに行った。しばらくすると20人程の警備兵が森の方へ向かって行ったので明日にでも素性が判明するだろう。
次に二人はローブを購入した。カイトは雑貨屋で売っている一番安いものでいいと言ったのだが、ロナウドが断固として譲らず、いかにも高級品を扱っていそうな服飾店で一番高いローブを購入し、挙句の果てにはカイトの服をオーダーメイドで注文していた。
「ったく、どうせすぐ捨てることになるから安物でよかったのにこんな高いもの買いやがって、雑貨屋で売ってる物の50倍もするじゃないか。しかも勝手に俺の服を注文するし」
「ガハハ、あの人数を一人で相手にしたんだ。並大抵の護衛だったらあっという間にやられていただろう。2度も命を救ってもらったんだ、その対価があんな安物じゃあ俺の気がすまない。それにしばらくここにいるんだろ?だったら同じ服を着ているわけにはいかないだろうし。だからこっちは報酬じゃなく俺からの礼だと思って受け取ってくれ」
「はぁ…まあいい。アンタの言う通りこの服しかないからな、ありがたく受け取らせてもらう。」
しばらく歩くと、ロナウドが泊まる宿屋が見えてきた。
「俺はここに泊まるがお前はどうするんだ?」
「俺はこれから魔道学院に向かう、なるべく急がなきゃいけない用事があるんだ」
「そうか・・・今まで世話になったな。俺は三日後にはこの街を出る、もしまた会うことがあったらそん時はメシぐらい奢ってやるよ」
「そうだな、その時はありがたくご馳走になろう。じゃあな、ここまで乗せてくれたこと感謝する」
そう言いながらカイトは宿屋を後にした。
中心街から西に歩くこと20分、ようやくカイトは目的地にたどり着いた。
レインスノート魔道学院、数々の優秀な魔導士を世に送り出している魔道国アルレイスが誇る最高峰の学園である。
「予定より早く着いちゃったけど、まぁいいか」
そう言いながらカイトは門をくぐった。
「おかしい・・・ここはさっき通ったはずだ」
門から校舎へ向かおうとしていたカイトだったが、彼は完全に迷っていた。
迷うのも無理はない、このレインスノート魔道学院は校舎のほかに訓練施設や実験棟、さらには故郷を離れこの学校に入学した生徒のために寮が建てられており、その広さはこの街の1/8を占める広さなのだ。
道に迷って途方に暮れていると
「おい貴様、そこで何をやっている?」
振り返ると赤髪の少女が立っていた。
「君はこの学院の生徒か?」
「質問に答えろ。貴様はそこで何をやっていると聞いている」
「その、ここにいる人に用があってきたんだけど」
少女の目がスウッと細くなった。
「フッ、もっとマシな嘘はつけないのか貴様は」
「え?」
「この学園に入るためには街の役所の許可をとり、門の前にいる警備兵の同行がなければ入ることすらできない。こんなことはこの街の者なら誰でも知っている」
「マジかよ、あの陰湿魔女そういう大事なことはちゃんと書いとけよ」
「何をゴチャゴチャ言っている。警備兵の目は誤魔化せたようだが残念だったな。まあ牢の中で後悔するといい、黒焦げになってな!」
そういうと少女は火を放ってきた。
弾丸のごとく迫る炎を躱すカイト、飛んできた炎は地面を溶かし一部ガラス化していた。
「おいおい、明らかに人に向けて放つ威力じゃないだろ殺す気か?」
「ほう、今のを躱すとはコソ泥のくせに中々やるではないか」
「待ってくれ、俺はここに来るように手紙に書かれていたから来ただけなんだ。
さっきこの街に着いたばっかでここに入るために許可が必要だってことを知らなかった、それに門の前には誰もいなかったからそのまま入って来たんだ」
「まだシラを切るつもりか。まあいい今度こそ確実に捕らえる」
そういうと彼女は火の玉を複数作り出した。
「今度こそ確実に捕らえる、舞い踊れ【緋剣の煌焔華】!」
炎の剣となった火球がカイトを襲う。
「できればやりたくなかったが背に腹は代えられない。悪いけど強行突破させてもらうぞ」
そういうとカイトは迫りくる炎に向かって手をかざした。
すると炎はみるみる小さくなっていき消滅した。
「なに!?おい貴様何をし———」
目の前で起きたことに戸惑う少女、直後後ろから衝撃を受けた。
意識が暗い海に沈む中少女の目には白銀の剣を持ったカイトが映っていた。
「相変わらずの強さですね、さすがはカイト様です」
気絶した少女を近くのベンチに寝かせたところで後ろから声がかかった。
振り返ると後ろにはメイド服を着た女性が立っていた。
「久しぶりだなミラ、すまないが校舎まで案内してくれないか。こいつを医務室に運びたい、しばらくしたら目を覚ますだろうがさすがにここに寝かせとくのは気が引けるからな」
「でしたら彼女はわたくしがお運びいたします。今はまだ生徒ではないカイト様が医務室に行かれますと後々面倒なことになりますゆえ」
「そうか、なら頼むさっきみたいに襲われたらたまらないからな」
「それにしても、クレア様に傷一つ付けられず気絶させるとは驚きました」
「彼女を知っているのか?」
「はい、クレア・セインヴェール 魔道学院序列七位でありまたの名を<紅き姫君>。そして騎士国セインヴェールの第三王女でございます」
「騎士国の第三王女!?なんでそんな人物がこの学園にいるんだ?」
「なんでもアインロッド聖堂学院の推薦を辞退し入試試験を受けてこちらに入学したようでございます」
「確かセインヴェールでは剣の使い方も教えるはず、そっちの方はどうなんだ?」
「それはまさに圧巻というべきでしょう。入学早々序列十二位に勝って以来彼女は近接戦においては全戦全勝ですから」
そんなことを話してるうちに二人は校舎にたどり着いた。
「ではわたくしは彼女を医務室へお連れしますので、カイト様はこちらで少々お待ちください」
そういうとミラはクレアを連れて行ってしまった。
(剣術の実力もあり魔術も優れている。そんな人物が自国の推薦を蹴ってここに来るなんて相当変わり者だな)
しばらくするとミラが戻って来たので俺は学院長の所へ向かった。