月下の契約
「——この国を変えたいか?」
月の光が差しむ廃墟で、少年は少女に問いかけた。
彼の握る剣は赤く染まり、周りには無惨に切り裂かれた肉片が散らばっていた
「君には今、ふたつの選択肢がある。ひとつは今見たことを忘れて遠く離れた土地で平穏に暮らすこと。もう一つは…」
少年は彼女に手を差し伸べて
「俺たちと共に戦い、この国を変えることだ、君も殺したいほど憎んでる奴もいずれ戦うことになる」
その言葉を聞き少女の目に光が燈った。
「だけど、この手をとったら君はもう戻れない。その手を血に染め戦いに身を投じる覚悟が君にはあるかい?」
少年の金色に輝く目が怪しく光る、もしこの手を握れば多くの人間を殺さなければならない。
しかし、少女は戸惑うことなくうなずき彼の手をつかんだ。
「私は戦う、たとえこの手を血に染めてでも、どんなに怨まれようと。私の大切なものを奪ったアイツを殺せるのなら、私は貴方たちと一緒に戦うわ」
彼女の言葉に戸惑いはなかった。何としても殺したい人間がいるのだ。
彼女の瞳は復讐の劫火で輝いていた。その目を見た少年は不気味に笑った。
「ならば共に戦おう。たとえ何千何万の命を奪おうと、どれだけの味方が犠牲になろうとも。俺たちの復讐のために、この国を変えるために———」