三つ巴
「実力で決める?」
「それでもかまわないわよ」
「……」
「やる?」
「やってもいいわ」
「やるのね」
「ええ」
「二人とも、やめろ」
このままじゃ、本気で戦闘が始まりそうだったので止めた。
「それで、どうするの魔王様?」
「町に降りるつもりだ」
行ってみないとわからなそうだしな。
「誰を連れて行くのかしら?」
「あいつらは尋問させてるからな。お前ら二人を連れて行く」
この二人から、目をはなしたくないからな。
「わかりましたわ」
「了解」
あとは、見た目をどうするかだな。
「見た目を変える方法はあるか?」
「ないわね」
「…………」
「でも、このままじゃ駄目よね」
「……あるでしょ? 有紗?」
「ないわね」
「……あるでしょ?」
どうしたらいいんだ。この二人。
「で、あるのか」
「模写之妖精、本来は相手の能力と姿を再現する妖精。でも、他者の容姿だけなら変えられる」
「なら、頼む」
「はーい」
「……最初から出しなさいよ。有紗」
「うるさいわよ。えーと、アリス」
「よし。行くぞ」
容姿がーーおそらく、ここにおける普通な恰好にーー変化したのを確認して、俺は動き出した。
「わかりましたわ」
「了解」
さっきまで、口論が嘘のようにおとなしいな……。
「ところで、町までどれくらいかかるんだ」
「半日あれば着きますわね」
半日!? 思ったより遠いな。
「そうか。いそぐぞ」
「わかりましたわ」
「了解」
かくして、急いで向かい。
半日で町へと着いたのであった。