アリス
「というわけで、生け捕りにさせてもらうね」
「貴様ごときにやられねえぜ」
「やってみなければ、わかりませんよ」
「なら、やってみろ」
「後悔しますよ?」
「しねえよ」
「喝!」
一瞬の出来事であった。
発声とともに、アリスが敵に肉薄し、みぞおちに強烈な一撃を放つ。
そのまま、やつは糸が切れた人形のように動かなくなった。
「後悔する暇もなかったのね」
「よくやった。アリス」
「お役に立ててなによりです」
意外と強いみたいだな。まあ、戻るか。
「おかえりなさい。魔王様」
「ああ、今戻った」
「収穫はあったみたいですね」
「そうだな」
「早く戻りませかぁ。魔王様」
ああ、こいつらもいたな。
「お前らはもう自由にしていいぞ」
「なんでですかぁ」
「なんでもだ」
「わかりましたわぁ」
さて、中に入るか。
「おお、お戻りになられましたか。魔王様」
「留守番ご苦労」
それよりも、今はこいつをどうするか。
「尋問が得意な奴はいるか?」
「それなら、我が出来ますが」
「ならば頼む」
さっきの敵、白鳥だったかな、をディアボロスに任せ、外に出た。
「用事は終わったのかしら?」
「何か用か?」
「用事がなきゃ話しかけちゃダメなのかしら?」
「ダメじゃないが……」
なんか調子狂うんだよな。
「用事ならあるのよ」
「なんだ」
「あなたの首に賞金が懸けられてるわ」
確かに、あいつもそんなこと言ってたな。
「どうするの?」
「特に気にしてないさ」
狙われたら、返り討ちにするだけさ。
「頼もしいわね」
「そんなんじゃないさ」
今はそれ「よりも、次にどうするか考えないと」
「途中から声に出てるわよ」
「二人で何を話してるんですか?」
アリスが来た。
「アリス。何の用だ」
「魔王様じゃなくて、有紗に用があってきました」
知り合いなのか?
「アリスなのね。あなたは」
「ええ、そうですよ」
なんだろう。なんか違和感のある会話。
「今回の目的はなにかしら?」
「魔王様に神を殺させることよ」
「そう。それは承諾できないわね」
「承諾してもらいますよ」
「どうしても?」
「どうしても」
「……」
「どうしても」
この二人の関係がつかめない……まあ、もともと読めない人たちだが。
それよりも、次にどうするか考えるか。