探索中
というわけで、サキュバスの妃 夢魔とデュラハンのユウキガイを連れて、近くの森に探索に出た。
しかし、一つだけ想定外なことがあった。RPGみたいに、森へ出れば何かが出てくると思ったのだが、何もいない。気配もない。
「何かいないのか」
「何もいませんわねぇ」
「イツモノコト」
どうしよう。これじゃあなにも収穫がない。
「探し物ですか? 異形のものよ」
なんかきた、自分で言うのもあれだが、話しかけてくるなんて勇気あるやつだな。
「貴様はなんだ?」
外套に身を包み、不気味な奴だ。
「アリスです」
女か? 声にはノイズがかかってるので断定できないが。
「探し物ですか?」
「ああ、まあ」
「うちにお手伝いできることありますか?」
「仲間を探しているんだ」
てってけてー。アリスが仲間に加わった。
「でも、仲間を探すのでしたら、この森にいても無駄よ」
「何故だ」
「町の人間は森に近づかないから」
そうか。でもそれなら、町に行ったとしても期待できないな。
「どうしますかぁ、魔王様」
「戻るか」
戻ったら、なにか考えないとな。
「とまりたまえ」
なんで帰りには現れるんだろう。
「とまりたまえ」
なんか触れないほうがよさそうだから、無視して帰ろう。
「無視するでない! とまりたまえ」
「なんだ、貴様は」
「よくぞ聞いてくれた。俺は白鳥 錬十郎。悪魔使いだ」
こいつは仲間にしないほうがいいと思う。なんとなく。
「貴様に用はない。失せろ」
「貴様になくとも俺にある」
用? 心当たりはないが。
「魔王を倒せば、金が手に入るんだよ」
金? 倒してもゴールドなんか出ないぞ。
「いくぜ、悪魔達」
「雷光弾」
これしか知らないからやってみたが、効いてるみたいだ。少なくとも悪魔達には。
「魔王の分際でやるじゃねえか」
魔王の分際、って魔王なんだから弱くないだろ普通に考えて。
「投降しろ」
「断る」
「ならば力ずくでやるだけだ」
「魔王様。それならうちに任せてください」
アリスの実力を見るいい機会だな。
「わかった。生け捕りにしろよ」
「了解です」
さあ、お手並み拝見といこうか。