荘厳なる少女マグロ と 運動会
"蜘蛛宇宙人":
「あの人 [”怪人の妻であった者”] はね…――
待ってたの。
ずっと
待ってたの。
あの人 [”怪人の妻であった者”] は
お父さん ["悪人"] を
待っていたの。
ずっと
話そうって
待ってたの。
ずっと……――
<トワレッ>
――で
待ってたの。
”ABEE”
みたいに
ヒソ [潜] んでいたの。
そんでね………――
来なかったの。
欲しいものは
手に入れられなかったの。
だから……――
爆発
したの。
させたの。
外に向かって。
もう
わかってるよね?
爆発は
ヒョーメンカ [表面化]
してないけど、
起こった事は
知ってるよね?
お父さん ["悪人"]、
知り合い ["元・上司"] と
それについて
話してたよね?
わかってるんだから」
―――――――――――――――――――――――――
"蜘蛛宇宙人":
「そんでね…――
終わったの。
あの人 [”怪人の妻であった者”]、
自分のした事と
引き換えに
ショーメツ [消滅] したの。
頭の
”悪い”
あの人」
―――――――――――――――――――――――――
"蜘蛛宇宙人":
「頭が
”悪い”
あの人 [”怪人の妻であった者”]。
あなた ["悪人"] に
利用されるだけの
対象。
お人形さん。
あなた ["悪人"] の
カタガキ [肩書] の為だけに
あなたの
パートナーに
なった人。
一度
カタガキ [肩書] を
与えられた後は、
あなた ["悪人"] に
無視された人。
愛されなかった人。
そして……――
あなた ["悪人"] を
満足させる為だけに
ボクの
”母親”
として
設定された人。
ボクには
必要無いのに、
”母親”
になろうと
していた
対象。
”母親”
でもないのに
”母親”
になろうとしてた………――
<人>。
役目じゃないのに、
役を
演じようと
してた人。
果たそうとした人。
ミートパイを
焼き続けた人。
頭が
”悪い”
のに
無理を
していた
<人>。
<合理的>
だけど……――
『理』
――が…
『無かった』
――人。
ボクと
対等じゃないのに、
対等であるかの
”様に”
サッカク [錯覚] していた人。
<ヒューマニズム原理>
が埋め込まれた人。
ボクとは
本来
無関係なのに
関係を
持とうとした人。
『<個>
――である事』
――を捨てた人。
”読者”
でもないのに
”読者”
のフリをした人。
自分が
すべき事を
弁えなかった人。
哀れな人。
哀れな人は
終わったんだよ」
"悪人" は
それを
聞き、
責任転嫁を
する。
繰り返す。
"悪人":
「そうなのかぁぁぁ……?
本当ぅ………
なのかぁぁぁ……?
ならぁ…――
お前が
”悪い”!
お前のぉぉぉ……――
<責任>
――だ!!
わたしは(わ)ぁ………
”悪く”ぅ……――
『無い!!!』
わたしは(わ)ぁ…
言ったぁ……
筈だぁ………。
『様子を
見に行け』
――とぉ……
言ったぁ…
筈だぁぁぁ……。
あの時ぃ………
お前がぁ……
様子をぉ…
見にぃ……
行っていればぁぁぁ………――」
"蜘蛛宇宙人":
「あの時じゃ
もう
遅かったよ。
遅すぎたんだよ。
あの時は
もう
終わっていたんだ。
もう
前の時点で
決まっていたんだ。
あの
お父さん ["悪人"] が
お父さんの友達 ["元・上司"] と
お話している頃じゃ……
――もう…
どうしようも
無かった」
"蜘蛛宇宙人" は
溜息を
ついた。
それも……――
わざとらしく。
そして………――
"蜘蛛宇宙人":
「お父さん ["悪人"] ……――
あなたとは
話しても
無駄です」。