荘厳なる少女マグロ と 運動会
"怪人" は
知っていた。
"蜘蛛宇宙人" に
知らされていた。
「”最悪”が
起こる事」
前以って
知らされていた。
「a priori」
そして…――
後からも
知らされていた。
”重力スケート”
のプログラムクールが
進んでいる間も
ずっと
対象を
分析し、
対処しようと
努力していた
"蜘蛛宇宙人" によって
具体的に
知らされていた。
「”ABEE”が
<トワレッ>
に潜んでおり、
それが
市民に
襲い掛かろうと
待っている事」
ただ……――
見ていた。
―――――――――――――――――――――――――
"怪人" は
"蜘蛛宇宙人" から………
――前以って……
起こる事を…
――予想と
――確率を……
「未来」
――を
知らされた後………――
頷いていた。
「geste」
ただ……――
"怪人":
《偉そうにぃぃぃ…》。
"怪人" は
了承を
しなかった。
"怪人":
《頷きは(わ)ぁ……
#”同”
意#
とは(わ)ぁ………
認められないぃぃぃ……。
#<解釈>のぉ…
問題#をぉ……
導けばぁ………
否定する事がぁ……
出来るぅぅぅ…》
「K」
"怪人" は
”感じていた”。
<敵国人>の
”様に”……――
「ニク
シミ」。
"怪人":
《こいつ ["蜘蛛宇宙人"] は(わ)ぁ………
いつもぉ……
親に対するぅ…
尊敬の念がぁ……
足らないぃぃぃ………》
自身が
存在する上で
都合が
”悪く”、
人形の
”様に”
思い通りに……
――命令通りに…
動かない者。
<人間>。
"怪人":
《謙虚さがぁ……
足りないぃぃぃ………》
それを
おくびにも
出さない……――
おくびを
出し続け乍ら。
―――――――――――――――――――――――――
"怪人" は
ペリフェリに
立ち、
”ABEE”が
やって来るのを
見る。
そして…――
その目を
逸らした。
"怪人":
《ママンんんん……》
"怪人" は
"女王" を
見た。
"女王" だけを
見つめていた。
好きなものだけを
見つめていた。
見たいものだけを
見つめていた。
"怪人":
《他の奴がぁ………
どうなろうとぉ……
知ったぁ…
事かぁぁぁ……》
”悪人”が
設定する………
――定義づける……
<人間>
らしさ。
―――――――――――――――――――――――――
誰かが
何かを
しながら
何もしない間も…――
”ABEE”は
動き続ける。
接近を
続ける。
"怪人" は、
<”ABEE”
の中で
最先端にいるもの>と……
――<最も
―― "怪人" と
―― 近いもの>と………
自身の間に……――
「直線」
――を見出す。
そして…――
#自身と
<最先端の
”ABEE”>
の間にある
直線以外の
領域#
の中から、
<"怪人" に
最も
近い位置に
立つもの>
を掴んだ。
<人>
――を掴んだ。
少女。
見知らぬ少女。
観客だろうが、
”重力スケート選手”
だろうが、
その家族だろうが、
関係者だろうが、
問題ではない。
記号的……――
「1」
――少女。
"怪人":
《ざまあぁぁぁ………》
「K」
"怪人" は
掴んだ
一少女を
引いた。
"怪人":
《ざまあぁぁぁ……》
そして…――
自身と
<最先端の
”ABEE”>
の間に
引かれた
直線の上に
その
一少女を
置いた。
「盾」
――とする為に。




