荘厳なる少女マグロ と 運動会
"蜘蛛宇宙人" は
それを
知っていた。
#<自身の
”親”>
――だと
社会的に
設定されている
対象#
が計画している事を
知っていた。
<プロット>
――を知っていた。
”悪”
――を知っていた。
ただ…――
自身が
<切り捨てられようと
している>事を
知らなかった。
”親”
と見做されている者から……――
「”親”
として」
<評価>
――されている者から
切り離されて
放置されようと
している事に
気づかなかった。
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
”優れた者”
ならば、
これまで
何度も
繰り返されてきた
レトリックから、
展開は
簡単に
予想できた
筈である。
”親ではない者”が
”親”となり、
”親”は
”親ではない者”
になる。
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
”同じ”
国民。
<仲間>。
クローン。
誰よりも
遺伝子的に
近い者。
「それらは
本当に
そうなのだろうか?」
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
概念が
壊れるのではない。
概念を………
――<解釈>
――を通じて……
拡張した結果、
拡がった分だけ
<それまで>
は薄くなるのだ。
データそのものの
容量が
変わる訳では無い。
規模が
拡がれば、
”同じ”
容量の
シェアは
低まるのだ。
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
"蜘蛛宇宙人" は、
”劣っている者”が
”卓越”を…――
「終わらせようと
している」
――事を
知らなかった。
「上には
上がいる」
――その……
<上>が………――
「邪魔だ!」
――と
”感じて”、
下の者が、
上という
存在を
見えなくしようと
画策している事に
気づかなかった。
無視する事で
”場”
に存在しないかの
”様に”
見せようと
している事を
知らなかった。
「存在」
――するものが……
「無い」
――とされようと
している事を
見抜けなかった。
"蜘蛛宇宙人" は
信じていたから。
”他を
信じる者”を
尊重しようとも、
それらは…――
「”他を
信じる者”を
尊重しない」
――という事を
見なかったから。
話せば
分かり合えると
思っていたから。
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
"怪人" は
自身を
誇りに
思ってなど
いないのだ。
#<蜘蛛宇宙人>
シリーズ#
を誇りに
思ってなど
いないのだ。
<国>
を誇りに
思ってなど
いないのだ。
出自を
守ろうなど
していないのだ。
<仲間>
を守ろうなど
していないのだ。
落として
皆を
滅亡の道へ
進めようと
導いているのだ。
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――




