荘厳なる少女マグロ と 運動会
下半身と
分離した
上体は…――
浮く。
浮き続ける。
上体と
別れた
下半身も
浮いているが……――
それは
石の上
のまま。
不動………――
揺れながら。
<本来の
向きに
戻った
上体>が……
――上へと…
――捻り無く……
浮き続ける………――
本来の形に
戻るまで。
上昇する……――
折り畳んでいた面を
開きながら。
「un」
――否定しながら。
―――――――――――――――――――――――――
上体が
浮き続ける中…――
#指を……
――結び目を………
解いて
自由になった
腕#
の傾斜は
止まない。
「impetus」
――は……
――邪魔
――されようとも…
奪われない。
先端は
動き続ける。
<倒れる方向と
”同じ”
側にある
腕>は
倒れ続ける……――
落ち続ける。
<その逆の腕>は
元に
戻ろうとする。
”同じ”
事を
しながら………――
逆に。
そして……――
「medium」。
元通り。
起立。
そして…――
繰り返し。
基底と
励起。
ただ……――
繰り返されない。
繰り返しの中に
繰り返さない事が
埋め込まれる。
「技」
ただ………――
「J」
――は
介在しない……――
「未だ」。
基底と
励起。
―――――――――――――――――――――――――
それまでの
その遷移は
ジャンプを
伴うもので
あった。
「SJ」
――ではない。
「FJ」
――でも…
「BJ」
――でもない。
単なる……――
「上下」。
維持の為。
―――――――――――――――――――――――――
鐘の音は………――
「無い」。
「除夜」
――の中……
<束縛>
を表現した後、
"マグロ" は
落ち過ぎぬ
”様に”
上がろう
とする。
基底と
励起を
繰り返し。
ただ
そこに
ジャンプは
無い。
低空ですら
ジャンプしない。
それまで
繰り返していた事は
繰り返さない。
将に、
あの名高い…――
『matin de faune』
――で
行われた事。
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
”重力スケート選手”
の為に
振付師が
#<オリジン>
から
抽出した
要素を
生成した
<オリジン>
から
抽出した
要素を
生成した
<オリジン>
から
要素を
抽出して
生成した
<バレエ版>#
を換骨奪胎する事で
本来の
”意図”も
”意味”も
消し去った
プログラムを
自動生成して
出力し、
その展開を
見た
<”劣った”
”重力スケートファン”>が……――
「美しい!」
「スケーティングが
キレー!!」
「キレキレ!!!」
――と
テンプレを
叫ぶ
対象。
それは………――
『matin de faune』
――ではないが……
『matin de faune』
――である。
ただ…――
”違う”。
「何処に
バラルメの詩が
<表現>
されていると
いうのだ?」
曲の中……――
『くね』
『くね』
――しているだけで
ニンフに
なる。
”劣る者”
にとって………――
ショーフも
天女も
淑女も
ニンフも
”同じ”。
演じていても
演じていないし、
演じなくとも
演じている。
単に
化粧で
薔薇色の唇を
作るだけで
ニンフを
演じる為の……――
「<表現力>が
ある!!」
――という
”劣る者”
による
<評価>。




