荘厳なる少女マグロ と 運動会
花を
花瓶に
活けた時…――
「相応しくない」
――”様に”
思われる時が
在る。
問題は
花瓶の色
ではない。
花の色でも
ない。
茎の色でも
ない。
形でもない。
花と花瓶を
取り囲む
箱の環境が
問題でも
無い。
花瓶のボディと
花の間の
距離が……
――茎の長さが………
空間の中で
妙に……――
「長過ぎる」。
<解釈>。
―――――――――――――――――――――――――
対象から
遠ざかってみる。
見る。
長さは
”悪くない”
”様に”
思われる。
ただ…――
「美」
――とも
言えない。
好色の脇に
佇む、
顔だけで
選ばれた
ゴルフキャディーの
”声”の……
――森に向かうが
――森に沈まない
――それの………
”様な”
長さ。
<重力スケートファン>が……――
「流れがある」
――と
#”良く”
<評価>
する#が、
ペダルを
踏み過ぎて
切る…――
「冪」
――時に
切らないせいで
ピアノが
打楽器である事を
否定する、
そんな類の
長さ。
本来、
よく
練られ、
#力では
”劣っている”
にも関わらず
<首相撲>時に
力負けしない
後進国出身
レスリング選手の
”様な”
張りとコシと粘り#
がある筈なのに
シェフの
気まぐれ放置
によって
煮過ぎたせいで
ペリフェリが
スライム状になり、
器の底に
沈むが、
鰻と違い……――
「élan」
――を見せない
饂飩の
”様な”
それ。
生命活動は
終わっていないにも
関わらず、
終わっているかの
”様な”
間延び。
活けているのに
活けていない………――
「カンジ」。
―――――――――――――――――――――――――
花と花瓶の
位置を
代える。
茎の先……――
「萼」
――の分だけ…
「長過ぎる」
――対象が……
――更に………
伸びて
見える。
「萼」
――が……
「大き過ぎる」
――のだ。
「太過ぎる」
――のだ。
<解釈>。
―――――――――――――――――――――――――
そこで…――
茎を
処理する。
切ってから
再度
確認する。
今度は……――
「短過ぎる」。
<解釈>。
花弁と
花瓶が
近づきすぎている。
色が
口論しているかの
”様”。
季語を
入れたせいで
テンプレになった
俳諧の
”様”。
調和する筈の
二つが………――
水と油。
水に対する
油ではないし、
逆でも
ないが、
そう見える。
”劣る者”が……――
「失敗」
――と
<評価>
する
<状態>。
それを…――
置く。
置き続ける。
或る日……――
気付く。
「萼」
――を
見つめていると
わかる。
過ぎてはない。
子供が
好む
チューリップの
”様な”………
――栄養失調
――ファッションモデルの
――筋肉を
――オッカムの剃刀で
――そぎ落とした
――太腿の
――”様な”……
細さは
無いが…――
「大き過ぎる」
「太過ぎる」
――事は
無い。
「短過ぎる」
――事も……
ない。
「無い」
―――――――――――――――――――――――――
重なり合いながら
重なり合わない………――
「萼」
――を
見つめていると
見える。
花弁が
見える。
花瓶が
見える。
見ずとも
見える。
目移りせずとも
それらが
入って来る。
そして……――
茎。
「毛」
――が
見える。
無数に見えるが…――
有限的それ。
そして……――
見続ける。
焦点を
集める。
焦点の
焦点。
点。
それは
絞る事で………
――収縮する事で……
領域が
拡大する…――
含むもの
それぞれの
際立ちを
薄め乍ら。
点の内部は
#悲嘆に暮れて
涙する者の
視界#
に近づき、
”同等”
レベルまで
行くと
最後……――
「blur」
――の中で
溶けずに
対象は
溶ける。
ただ
すべては
溶け乍ら………――
「distinct」。
「在る」
その時……――
気づく。
「これまで
行ってきた事は、
間違いでは
無かった」
そして
それは
そこに…――
「在る」。
在り続ける。
ただ
”劣る者”
には……――
わからない。
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