表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/1061

荘厳なる少女マグロ と 運動会

 ―――――――――――――――――――――――――




 朝――居間に在った手紙。




 誰も目覚めていない時間…

 ――"マグロ" は一度目覚めたが……

 ――二度目の眠りで

 ――”コシュマール”の中………


 「朝食を作ろう」


 と

 ――隣で眠る妻を起こさず

 ひとり起きた "父親" は


 「fut」


 と


 <それ>


 を、見つけたのだった。




 それは、

 "マグロ" が

 ――暗いうち……

 ”ABEEあびー

 によって運ばれてきたのに気付き、

 居間まで運んだ、

 宛先が書かれていない


 <手紙>


 であった。




 手紙を見つけた時、

 "父親" は


 <それが何故、居間に在るのか?>


 <どうやってそこに運ばれて来たのか?>


 という事情を

 知らなかった。




 調べもしなかった。




 開封し、

 中身を見た "父親" は、

 それが


 ”卑猥な手紙”


 である事を

 確認した。




 ただ…――




 以前から

 ――頻繁に

 ”変態”

 の手によって

 送られてくる手紙と


 <それ>


 は、違う事を

 ――瞬時に

 理解していた。




 ―――――――――――――――――――――――――




 それまでの卑猥な手紙は、


 <"マグロの姉" ではない成人>


 <世間で生活する

  大勢の

  性的欲望の対象となる事を

  仕事としている人間>


 の卑猥な画像が

 添付される事が

 多かった。




 それら画像の中でポーズを取る

 被写体の成人たち

 その皮膚の上、

 服が身体を覆う面積は、

 極めて少なかった。




 布があるからといって


 「服を着ている」


 とは言い難い

 ――そんな状態。




 朝に届いた写真には、

 それらの姿は

 なかった。




 ―――――――――――――――――――――――――




 勿論、

 時には

 "マグロの姉" をうつした写真

 それが

 ――”変態”から

 送られてきた事も

 あった。




 ただ

 ――その中で

 "マグロの姉" は

 ――すべて

 着衣姿だった。




 <電車の中、立つ姿>

 であったり、

 <練習場に向かうさま

 を盗撮した

 写真。




 送られてくるそれら写真の中で

 "マグロの姉" の視線は

 カメラ・アイの方を

 向いていなかった。




 盗撮に気付いている時だけは

 カメラ・アイの方を向いていたが

 ――少なくとも

 睨みつけていた。




 ”重力スケート”

 の

 <地方大会>

 が開催される

 その日の朝

 送られてきた写真は、

 それまで撮られたどんな写真とも

 違っていた。




 ―――――――――――――――――――――――――




 胸筋が発達して

 椀の様に盛り上がった

 ポワトリン。




 その上に茂る

 カールして縺れた

 胸毛。




 男の――胸。




 それに頬を寄せる――少女。




 下着姿の――"マグロの姉"。




 乱れた髪。




 胸毛と髪が絡んで見えた。




 上気して赤らんだ "マグロの姉" のチーク。




 締まりのない微笑み。




 「Trogne」


 と熔けた――瞳孔。




 恍惚――かく在りき。




 指先――




 「Peace!」




 そして――




 少女の肩に回されている

 太い腕。




 "マグロの姉" の首を包む――毛深いマフラー




 先に光る――薬指の指輪。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ