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荘厳なる少女マグロ と 運動会

 世の中では、

 <出来ない者>

 が、出来る者を


 「潰そう」


 とする事がよくある。




 英語の出来ない者は、

 英語の出来る者を攻撃する。




 英語の出来る者は、

 英語とドイツ語やフランス語の出来る者を攻撃する。




 英語とドイツ語やフランス語が出来る者は、

 それらとラテン語が出来る者を攻撃する。




 それらとラテン語の出来る者は、

 コプト語やヒエログリフを。




 プログラミング言語を。




 数式を。




 そしてすべてが出来る者は、

 <その他すべて>

 に、嫌われるのだ。




 誰も

 ――表だっては

 認めない。




 皆――話をすり替えている。




 ただ――毎日、あらわされている。




 出来ない者は、

 レトリックを使って

 間接的に

 より優れた者を

 自分のレベルまで

 引き摺り下ろそうとしている――


 それだけだ。




 <努力>

 する者を

 無視するだけだ――


 苛立ちながら。




 どこにでも

 実例が

 ある。




 以前もあったし、

 今日もある。




 これからも――現れ続ける。




 出来ない者が

 <出来る者>

 の

 ”仲間”

 になる事はないだろう。




 <出来ない者>

 は

 ――共感によって

 <出来ない者>

 の

 ”仲間”

 になるだけだ。




 「今日も

  大勢が、

  低レベルに

  感動している

  じゃないか…」




 明日だって――そう。




 以前も書いたし……――今日も書く。




 そして………――明日も書くのだろう……。




 そして、

 死ぬまで

 攻撃され続けるのだ。




 「無視され続けるのだ」




 <いつまでも変わらない者>

 と

 <変わり続ける者>

 は、

 相容れないのだから。




 ―――――――――――――――――――――――――




 "マグロの姉" と同じ

 ジュニア選手の親達は、

 気付いていた――


 "マグロの姉" の体形は

 前シーズンと

 あまり

 変わっていない事。




 以前

 大会に出た時と同じ様に

 痩せていて、

 関節の動きに淀みがなく、

 筋肉量が増えてカッティングが際立っている訳でもない。




 しかし…――




 背が

 前シーズンより

 ――大きく

 伸びている。




 それを見て――幾人かは、安堵した。




 ”重力スケート”

 の選手が成長期を迎えると、

 演技の出来が不安定になる事は

 よくある事だから。




 特に、

 短期間で急激に背が伸びると

 視点や重心の位置も同時に変化する為、

 バランス感覚などが

 ――知らず知らず

 ずれるものだ。




 ただ――"マグロの姉" を見つめる幾人かは安堵しきれない。




 よくある事は、

 ない場合も

 よくあるのだから。




 ―――――――――――――――――――――――――




 "マグロの姉" と

 同じ練習場に通い

 同じコーチに師事している選手が、

 来た。




 公式練習の時間が一緒だから、

 迎えに来たのだった。




 二人は、

 特別仲が悪い訳では

 なかった。




 "マグロの姉":

 「じゃあ、そろそろ行くから」




 "マグロの姉" は、

 行った。




 振り返りはしなかった。




 普段なら、

 <試合>

 のみならず

 <公式練習>

 の前でさえ

 声を掛けてくる

 "母親" のアドバイスがない事に

 "マグロの姉" は

 不信の念を

 抱かなかった。




 "母親" ではなく、

 "父親" が

 急ぐ娘の後姿を

 見ていた。




 "父親" は見送ると――胸に手を当てた。




 その胸の内。




 卑猥な――手紙。



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