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荘厳なる少女マグロ と 運動会

 ―――――――――――――――――――――――――




 若き日の

 "マグロの母親" の

 ”ドラフト”

 終了期日が

 迫った。




 国は

 "マグロの母親" が

 ――それ以上

 戦地にいる事を

 望まなかった。




 "マグロの母親" も

 ”ドラフト”

 その期間延長を

 申請しなかった。




 組織も

 個人も

 早く戦場から

 立ち去る事を

 願っていた。




 "マグロの母親" は

 ”戦争が嫌だった”訳では

 なかった。




 戦争は

 "マグロの母親" にとって

 単に

 <仕事>

 だった。




 そう考える "マグロの母親" が

 ――別に

 特異であった訳ではない。




 ”ドラフト”

 がある時代、

 それに選ばれる者は

 ――多かれ

 ――少なかれ

 戦争というものを

 毛嫌いする事はないし、

 そうであったとしても、

 そうでなくなるものだ。




 "マグロの母親" にとって


 「消えてほしい」


 と

 ずっと願っていた

 <邪魔>

 が消えた場所に

 愛着など

 なかった――


 それだけだ。




 そんな "マグロの母親" が

 ”ドラフト”

 から解かれるまで、

 戦地のヘッドクオーターに

 ――しばしば

 響いていたメロディ。




 その歌詞を

 ”重力スケート”

 の

 <地方大会>

 会場ロビーにて

 娘達と共にいる

 "マグロの母親" は、

 知っていた。




 頭の中で流れる――口笛。




 ―――――――――――――――――――――――――




 "バレエ座の怪人":

 「君が美しいのは、罪である。

  ”美しさ”とは、この世の罪!


  サクラの季節は過ぎ…

  あとは散るだけ……散るだけ………。


  チューリング……チューリング…メイドノヒキャク……。

  感謝と偵察はない………相変わらず……。


  みにくいのだ…わたしは……

  くずなんだ………『わかっている』。


  救いようがない……でも最期に望みがある…。

  ただ……深夜にあるのは………わたしの欲望……。


  この細道で…君を待つ……。

  権威ある………<バレエ座>の前にて……。


  わたしには権利がある…これこそ……わたしの正式なる権利………。

  ”崇高なるものを罰する”という……奪われる事なき権利…。


  醜き怪人ファントームは君を罰する……可愛い小鳩………。

  何故なら君は……この世で最も美しいから…。


  君は……わたしが持っていないものを持っている………。

  そしてそれは……”死刑台”を意味している…。


  ひとつ……二つ………と数えよう……。

  準備はもう…十分かい……?」




 ―――――――――――――――――――――――――



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