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荘厳なる少女マグロ と 運動会

 ―――――――――――――――――――――――――




 "マグロの姉" と "マグロ" に

 割り当てられた

 公式練習の順番まで

 まだ時間があった。




 二人は、

 家族の許に

 戻った。




 家族は、視線を交わしていなかった。




 "マグロ" は、

 "怪人" と両親が会話をした結果、

 変化が現れた事に

 気がついた。




 "姉" はそうではなかった。




 壁をタッチして

 ――鏡を出して

 自分を見ていた。




 それを "父親" が見ていた。




 胸に手を当てていた。




 "母親" は

 物思いに

 耽っていた。




 ”昔の恋人”

 と出会い、

 迫ってくる

 <過去>

 と共に。




 ―――――――――――――――――――――――――




 "マグロの母親" が

 ”ドラフト”

 されていた頃、

 可愛がっていた後輩がいた。




 愛らしい人だった。




 "マグロの母親" は

 ――訓練校の時代から

 その後輩に

 手取り

 足取り

 色々な事を

 教えてやった。




 転機は、

 プログラムの組み立ての記録を

 後輩に抜かれた時に

 来た。




 子供の様に喜ぶ後輩を見て、

 "マグロの母親" は

 微笑ましく思いつつ、

 今迄にない思いを

 持て余していた。




 そして――”ABEEあびー”の操作。




 武器の組み立て。




 後輩は、

 "マグロの母親" よりも速く

 処理を済ませる事が

 出来る様に

 なっていた。




 "マグロの母親" は知る――悔しさ。




 誰もが知り始めた――後輩の優秀さ。




 "マグロの母親" が劣っているという事。




 "マグロの母親" は、

 一足先に

 訓練校を後にした。




 ただ――戦地で後輩とまた一緒になった。




 "マグロの母親" は、

 上官となっていた。




 後輩に、厳しく当たった。




 "マグロの母親":

 《これも、あなたの為なのよ!》




 "マグロの母親" は、

 愛らしき後輩に

 ”だけ”、

 厳しく当たっていた。




 愛らしき後輩は

 ――戦地で発生する

 幾度の困難を乗り越える為

 役に立つ人材だった。




 戦略でも、

 "マグロの母親" が提案するプランより、

 より緻密に

 細部を詰める事が

 出来た。




 交渉事でも

 その

 <愛らしさ>

 を発揮して、

 ――"マグロの母親" より

 スムーズに

 事を運ぶ事が

 出来た。




 "マグロの母親" は、

 ”みんなで”

 障害を克服していく中

 ――しばしば

 成功の主因となる

 愛らしき後輩の活躍を

 憎らしげに

 見つめていた。




 愛らしき後輩は

 "マグロの母親" を

 たてた。




 「あの方 ["マグロの母親"] のお蔭です」




 その度に――"マグロの母親" の評価が高まる。




 "マグロの母親" は

 他人から称賛される度に

 頬を綻ばせる。




 ただ――




 すぐに嬉しさなど

 消えてしまう。




 "マグロの母親" は

 自分が出来ない事をする後輩を

 憎んでいた。




 その後輩は――


 <男>


 ――だった。




 その後輩は、後輩ではなかった。




 <脅威>


 であり――


 <敵>


 であった。




 "マグロの母親" は

 敵国の兵士や破壊兵器を

 恐れなど

 しなかった。




 憎みさえ――していなかった。




 攻撃の命令があるからこなす

 <仕事>

 があるだけだった。




 隣りにいつもいる

 同国人の


 <優秀な者>


 こそ、

 "マグロの母親" にとって

 ――たったひとつの


 <敵>


 であった。




 いくら後輩がたてようと、

 "マグロの母親" の

 後輩に対する扱いは

 日を経る毎に

 ひどくなる

 一方だった。




 周りはただ見ていた。




 見ている

 ”だけ”

 だった。




 ―――――――――――――――――――――――――



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