荘厳なる少女マグロ と 運動会
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以前から
<悪口雑言>の込められた手紙
を送って来る者も
”ABEE”
を使っていた。
それを "マグロ" は
"母親" から聞いていたし、
実際に
――録画映像でも
――以前…
確認した事があった。
"マグロ" に事を説明した "母親" は
――"マグロ" に告げる前
映像を
――その目で
確認していた。
"母親" は
――”ドラフト”されている間
戦地にて
映像解析と情報分析を
――主に
行い、
戦地に於ける
”ABEE”の脅威
を目の当たりにしていたから、
見極めは速かった。
家に備え付けられた人工知能も
――解析の結果
"母親" が目で見て
思った事
と
同じ結論
を告げた。
警察による調査でも、
「同じ結果が出た」
と知らされた。
以上の事を踏まえれば、
"マグロ" の推察は、
当然の事であり
――実際に
正しい。
ただ……――
"マグロ" の推察は、
単なる連想に過ぎない。
<連想>
は、
前提を下に展開(再構成)される
――連想する本人にとって
”もっともらしい”
アイディアである。
忘れてはならない事は………――
連想で花開いたイメージは
――そうである様に見えても……
<現象>
と
――必ずしも…
――すべてが……
――常に………
”イコール関係であるとは限らない”
という事。
"マグロ" は――
○ 白い手紙が自宅の裏口に送られてきた事
――その点から
○ 手紙を運んできた
――手紙の四隅にある
――点滅する小さな光が
”ABEE”である
――と推察した。
黒い朝の中で
「はっきり」
”ABEE”
の
<ボディ>
を確認した訳でもない
にも関わらず、
その様に
推察したのだ。
結論から云えば――間違っていない。
ただ、
少女は
<前提>
を
吟味
していなかった
――事は指摘しなければならない。
○ 白い手紙が来た
そして――
○ 四隅に点滅し続ける小さな光が在った
だから――
○ その小さな光は”ABEE”である
という連想の基盤には――
○ 以前から
"美しさを憎む者" から
白い手紙が来ていて、
それを運んできている物が
”ABEE”
であった
という事情がある。
「以前から何度も同じ様に見える現象が繰り返されているからといって、次に同じ様に見える現象が発生した時、必ずしもその最後(最新)に起こったその現象が以前と同じ性質と属性を持っているとは限らない」
――にも関わらず。
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例え話をしよう。
<パンの外見をしている物体>
が、あるとする。
それが運ばれてくる。
その物体は、
パン生地らしき物で覆われているから、
中を見る事は出来ない。
それを手に取り、割ってみる。
粒餡が入っている。
そして次にまた、
<同じ外見をした物体>
がやって来る。
それを手に取り、割る。
粒餡が入っている。
それを何度も繰り返す。
どれも粒餡が入っていた。
すると
次に来る
<パンの外見をした物体>
の中身も
「粒餡だ」
と、多くは推察する。
次の物の中には、
<クリーム>
が入っているかも
しれないのに……。
<漉し餡>
かもしれないのに…。
確率論を用いれば、粒餡である可能性は高い。
それでも……――
確率論は
未来を
絶対的に
保証しない。
それでも………――
次に来る
<パンに似た外見をした物体>
を割ってみると
中身が
粒餡であった
――としよう。
「やっぱり……」
と大勢は言うだろう。
そして――思考停止。
そして――
「次も粒餡だ」
だからこそ…
――粒餡が入ったパンらしき物
――が作り続けられる限り……
餡パンの制作者が
途中で
入れ替っても、
誰も気にしないものだ………。




