荘厳なる少女マグロ と 運動会
そんな少女が、学年をひとつ上げた時の事。
新学期のクラス会議で、
<学級活動の役割分担>
を決める様、
教師が促した。
"教師":
「誰もがひとつ
――必ず
何かの役職に
就かなければならない!」
その時、
少女 "マグロ" は
――他の少女と同じ様に…
<連絡係>
になろうとした。
特に連絡がしたい訳ではなかった……――
少女 "マグロ" はグループに加入していた。
友人数名によって構成されるそのグループでは、
グループ構成員(全員女子)が
「みんなで一緒に
<連絡係>
になろう!!」
と口裏を合わせていた。
"マグロ" は、何係だろうと、どうでも良かった………
――即ち
――<連絡係>でも
――問題はなかった。
しかし……――問題は在った。
<連絡係>は
――クラスでも
特に人気がある役職であったのだ。
よって――希望者多数。
ただ、その人気というものは、消極的選択の結果であった
――即ち…
「掃除係にはなりたくないし……」
「給食係にはなりたくないし………」
それら、
<なりたくないもの>
を排除した結果として、
<連絡係>
が
大勢に
求められていた。
<連絡係>のメンバー選別の為に、
”くじ引き”
が執り行われた。
くじ引きの結果――少女 "マグロ" は勝った。
"マグロ" の所属するグループの人員も
――少し
勝った。
ただ……――負けた者がいた。
"マグロ" は、負けた同級生を見た。
《不安そう…》
――であった。
グループに所属していない子も、不安そうであった。
少女 "マグロ" は、”勝利”を譲った。
チャンスは廻り――
"マグロ" が勝って欲しいと願う同級生に、訪れた。
その結果――
"マグロ" は<飼育係>になった。
特に後悔はなかった。
友人は、
"マグロ" の自己犠牲を知り――
「偉い!!!」
――と告げた。
"友人"その1:
「フツーは出来ないよ!!」
クジに負け、勝った同級生は――
「ありがとー! この事はゼッタイ忘れないからね!!」
――と告げた。
しかし……――
褒め言葉は
――翌日には
なかった。
勝ちを譲られた同級生は
恩を
――何週間も経たない内に………
なかった事にする。
勿論、出来事を記憶し続ける……
――それでも…
見ないフリをする。
当たり前の事だ……
――低俗な人間は
――”人間の崇高さ”に
――腹を立てる。
自分の低俗さに、”それ”は不都合であるから。
何はともあれ………――
<飼育係>の活動として、クラスには生き物が必要になった。
会議の結果、”魚”と”亀”を飼う事になった。
クラスメイトが、それら動物を調達してきた
――自分の家で手に負えなくなった動物を
――「ラッキー!!!」と
――学校に
――押し付けたのだ。
こうして、飼育係の活動が始まった。
"マグロ" と同じ<飼育係>に所属する同級生は、
餌付けばかりをしたがった。
皆、水槽の掃除を特に嫌がった。
自動給餌器や自動掃除機は、
教育の名の下に、
使用を控える様
指示されていた。
清潔が必要以上に求められた世の中で育った子供達は、
手を汚す作業を好まなかった。
"マグロ" は嫌がらなかった。
生き物の環境を整える事は、
生き物を飼う上で
当たり前の事である
その事を "マグロ" は知っていた。
"マグロ" は、一生懸命、世話をした。
飼う前は、
「ゼッタイに面倒を見るから!!」
と約束しておきながら
一カ月も経てば、
「面倒臭い……」
と親に責任を押し付ける様な
<子供らしさ>
が
――少女 "マグロ" には
なかった。
"マグロ" が世話した結果、"マグロ" は動物と仲良くなった。
特に亀――
<石亀>
――と仲良くなった。
そんな或る日の事だった。
少女 "マグロ" が
<自分の恋愛感情>を恥じる
そんな事件が起こった。