荘厳なる少女マグロ と 運動会
「見せて
欲しい」
即ち…――
<手にしたい>
という事。
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掌に
乗せられる
装置。
現地人は
物珍し気に
”感情メッセンジャー”を
見た。
"青年" の
説明によって……――
「それが何か?」
――こそ
わかっていたが………――
現地人が
それそのものを……
――いくら…
見ても、
目的の装置には
見えない。
掌の上で
転がしてみた。
何も
起こらない。
自由な指で
突いてみた。
力の掛かり方に沿って
動くだけ。
"青年" は
不器用に
装置を扱う
現地人を
見て
笑った。
"青年の友達" も
笑った。
傍にいた
別の現地人が
現地語で
「貸してみろ」
という趣旨を伝え、
装置を……
――横から………
奪った。
掌で
強く
叩いた。
"青年の友達" が
傍にある
”武器になる物”に
手を
伸ばした。
兵士が闘う時に
纏う
典型的な顔が
在った。
それを見て……――
最初に
”感情メッセンジャー”を
借りた現地人が
「止めろ」
と命令し、
奪い返した。
"青年の友達" は
伸ばしかけた手を
酒に
寄せた。
そして…――見ていた。
現地人は、
"青年" が……
――装備を
――解除する前まで………
装備していた様に……
――真似をして…
”感情メッセンジャー”を
嵌めてみた。
何も
起こらない。
「どうやって使うのですか?」
丁寧語で……
――下から目線で………
現地人が
"青年" に
尋ねた。
"青年" は
教えてやった。
現地人は、
インストラクションに沿って、
起動した。
何も
起こらない。
本当は
起こっていて、
視界に
変化が
在るのだが、
装着者には
見えて
いなかった。
数学的には
0 [ゼロ] ベースで
計算される
領域。
現地人が、
自身の観点から見た
<事実>を
"青年" に
告げた。
一時的に
”感情メッセンジャー”を
手にしたが、
奪われ、
取り戻した者が
”訝し気”
を醸し出していた。
"青年":
「見えませんよ」
現地人は……――
「何故か?」
――を
尋ねなかった。
現地人は
見える様に
するように
"青年" に
言った。
それは
懇願ではなく、
命令として
響いた。
みんな、
見ていた…――
同じ思いで。
"青年" は
酔いながらも
空気を
”感じていた”。
口を
開く。
"青年":
「誰か
”感情メッセンジャー”を
持っている奴が
もうひとりいて、
それから
<チャネル>
を開かないと……――
見えません。
チャネルを開かないと、
見えない様に
なっているんです。
だれか
別の子機を
持っている奴を
探さないと………」
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”感情メッセンジャー”は……
――合意がない限り…
一方的に
<他人の感情を見る>
という事が
出来ない仕様に
なっている……――
勝手に
他人のプライバシーを
盗み見る事が
ない様に。
勿論、
チャネルを
オープン
<状態>
にしておけば、
誰でも
見られる
<状態>
にする事は
可能だ。
それでも………――
自身の感情を……
――古語で言う
「ダダ漏れ」
<状態>
にする者は
少ない。
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