荘厳なる少女マグロ と 運動会
本心は違った。
実際、
"青年の友達" に
通報されては
困るのだ。
プロット通りに
行かなくなる。
"怪人":
《こいつにぃ…
通報ぅぅぅ……
されたらぁ………
単にぃ……
戦争負傷者がぁ…
――後遺症からぁ……
気を病んでいるぅ………
としかぁ……
見做されないぃ…――
本格的な調査がぁ……
始まらないぃぃぃ………》
"青年の友達" は
その時、
<健康>
と呼ばれる
<状態>に
――極めて
近いと
評価されていたが……――
<健康そのもの>を
保障されていた訳では
なかった。
<健康>であるなら
付き添いは
いらないのだ。
"怪人" の出番は、
なかった筈なのだ。
―――――――――――――――――――――――――
"怪人" は
その時、
<責任>を
"青年の友達" に
負わせるつもりが
無かった。
最終的には、
"青年の友達" に
<責任>を
取らせるつもりだったが…――
<通報の責任>を
取らせるつもりは
なかった。
目的は、
先にある。
"怪人" は、
目先の
――小さな
利益に
囚われる事が
ない。
早くしようが
遅くしようが、
目的は
同じであり、
遅くすればするほど、
効果は
大きくなる。
被害は
甚大に
なる。
―――――――――――――――――――――――――
"青年の友達":
「でも……――」
――と
――何も知らない
"青年の友達" が、
固執を見せる。
"怪人":
「わたしが、
行う」
命令調だった。
それで
話は
決まった。
"青年の友達":
「では………――」
従順を見せられ、
"怪人" は
頷いた。
―――――――――――――――――――――――――
"青年の友達" には
安堵がある。
頭の中には
ベッドに横たわり、
”GIVS”無しでは動けない
そんな自分を見て泣く
"青年の友達の母親" の姿が
見える。
それは――笑っていない。
現実との齟齬。
醜い物が……――美化される。
―――――――――――――――――――――――――
《周囲を苦しめたくない…》
――と
――少なからず
思っていた "青年の友達" は、
<責任>から
免れた様に
”感じた”……――
最終的な
<責任>から
免れた訳ではない
にも関わらず。
"青年の友達" は
"怪人" を見る。
"怪人" は
空中を
操作していた。
通報の手続きを
進めていた。
"青年の友達" は
感謝した。
自分が負おうとした
<責任>を………――
「代わりに負う」
――と宣言した……
――赤の他人である…
"怪人" という対象に
尊敬の念を
重ねた。
―――――――――――――――――――――――――
"青年の友達":
「owe……」
"怪人":
《but own………》
―――――――――――――――――――――――――
その時だった。
「ボm!」
「ボmm!!」
「ボmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmm!!!」
遠くで
爆弾が
破裂した。
破片が飛んでいく。
情報の……――クラスター。




