荘厳なる少女マグロ と 運動会
公開されている
"外国人" の
――当時の
友人関係から、
その親的存在…
――さらには……
――"外国人" の出生地や
――子供時代の生活………
を割り出す事も
困難に見えた。
"外国人" が当時……
――<地下シェルター>の
――入居時に…
友人として
設定していた者……
――既に疎遠となった者を
――含める………
等は――
”多国籍”
――が特徴だった。
[海外に行けばわかるが、
自身と
同じ国民や
同じ言語使用者を
敢えて避ける者がいる。
目的は、
”人それぞれ”
なのだろう]
そしてその
――"外国人" の
当時の交友関係の中に
"マグロ" の住む国にとっての
<敵国出身者>は
いなかった……――
ひとりも。
その後、
”重力スケート協会”
でキャリアを始めてからも
<敵国出身者>
との接触は…
――極端な程……
無かった。
"外国人" の第一言語も
――最初から
”世界共通語”
として設定されている。
第二言語、第三言語としても、
<敵国語>
は設定されていない。
表面的データを見る限り、
"青年の友達" の感じた
”怪しさ”は
否定されていた。
"外国人" が
<敵国出身である>
と断定する証拠は
――全くと言っていい程………
見当たらないのだ。
が……――
"怪人":
《敢えてぇ…
仲間をぉ……
避けたんんん………
だろうぅぅぅ……
ねぇ…》
怪しむ者から
怪しさを取り除く事は
出来ない。
―――――――――――――――――――――――――
"怪人" は
落胆をしないし、
"青年の友達" を
落胆させ過ぎない。
ここまでのプロセスは、
"怪人" のプロットに
織り込まれている。
―――――――――――――――――――――――――
"怪人":
「でもぉ……
確かにぃ………
怪しいぃ……
ねぇ…」
"青年の友達":
「そうですか……」
明らかに
"青年の友達" は
気分が削げていた。
繰り返しと焦らしに
飽きたのだ。
それを見て、
"怪人" は
始める事を
切り出す時が――
《来たぁ………》
――そう思った。
気分が乗っている時よりも、
待たされて気分が削げている時の方が
――選択に対して……
注意が散漫になっているから
誘導がしやすいのだ。
"怪人":
「国民としてぇ…
<通報>
するべきぃ……
かもぉ………
しれないぃ……
ねぇ…」
「通報」
――という単語を耳にして
"青年の友達" は
ついに時が――
《来た!》
――と思った。
"青年の友達":
「じゃぁ……――」
"青年の友達":
《やっと進める》
"青年の友達":
《始められる》
――と
先の展開を
期待する。
しかし………――
"怪人":
「うんんん……。
そうだなぁ…。
でもぉ……――
通報するという事は(わ)ぁ………
リスクを負うぅ……
ということだよぉ…――
わかっているぅ……
ねぇ………?」
繰り返しが
あって……――
裏切られる。
覚悟が十分にない者は
ふるい落とされる。
それに…――
"怪人" には、
タイミングを調整する必要が
あるのだ。




