荘厳なる少女マグロ と 運動会
"怪人" は、
さらに見る。
青年期に国籍を得た時、
"外国人" は
<公的福祉団体施設>で
生活をしていた。
核戦争を想定した時代に作られた
<地下シェルター>
が、それに該当する。
本来の目的で使用される事が少ない為に、
多目的に利用されるようになったのだ。
その
<地下シェルター>は、
"怪人" が見ている時代でも
利用されていて、
その場所データには
アクセス制限が
かかっていない。
海外からでも
自由に
アクセスする事が
出来る…――
<どんな場所か?>
を見る
という目的に
於いて
であるなら
そうである。
※"青年の友達" でも
見る事が出来る。
ただ、
"青年の友達" には
"外国人" の身元の表層を
見る権限はないから、
その場所と
"外国人" を
関連付けする事は
ない。
よって、
見る事はない。
そこは
”移民が国籍を得る前に
生活する場所”
として
――オープンに
紹介されている。
[不思議な事に、
その
<地下シェルター>
の映像を見ると、
<男性がひとりもいない>
事に気づかされる。
特に
<女性専用>
を謳った施設ではないにも関わらず、
そこの映像に
男性的外見をした者が
現れる事はない。
食糧配給の列に並ぶのは――女性だけ。
憩いの場で遊ぶ者は――女性だけ。
ベッドを占領するのも――女性だけ。
移民は、
<家族全員で移住しよう>
とするケースが
――多々
見られるものだし、
その場所以外の
<公的福祉施設>(移民支援施設)
の映像には、
男性と女性の姿が
入り混じっている事が
珍しくない
にも関わらずだ。
男はいない。
子供すら、
いない。
確認する事は
出来ない]
"怪人" は
"外国人" の経歴データを
見直す。
"青年の友達" が怪しむ "外国人" が、
その
<地下シェルター>
にいた時期に、
”親の名前部分”だろう
<空白>が
頻出している……――
文脈から
推測する限り、
そうだ。
※頻度分析を
すると………――
"外国人" が
”重力スケート協会”で
――大いに
活動を始める頃には、
その
<親の名前的スペース>は
ほとんど
出てこなくなる事が
わかる。
<スペース>の
出現率は、
緩やかというより
急に
減少する。
国籍を得た後、
親的対象と "外国人" の関係が
突然
薄くなった事を
読み解く事が
可能だろう。
"怪人" は
――さらに
遡って見た……――
始まりの点を
探して。
怪しい "外国人" が
公的記録に
――初めて
登場する、
その
<地下シェルター>
入居時代に
その
<空白>
となった
<親的存在>が
設定された様だ。
国の認可を
受けている
マークが
ある。
"外国人" の
――公開されている
データには
生物学的親や親戚の類は
見られないから、
"外国人" が
国籍を得た国に
やって来るより先に
その国に住んでいた――
”どこかの誰か”
――が
何かしらの方法で
その "外国人" の身元を
引き受けたのだろうと
予想が立てられる…――
その親的存在が……
――"外国人" が
――<地下シェルター>から
――転居する時………
"外国人" の身元を
保障してる痕跡も
あった。
それでも……――
その
<親的存在>
の名前は…
――"怪人" が
――"青年の友達" の目の前で
――見ている時点では……
わからない。
人物像も
背景も
見えなかった。
<スペース>が
――ただ………
存在し、
その先は
――調べなければ
わからない……――
そんな
<状態>
とされていた。
見る事しか許されていない "怪人" は、
別のアプローチを取ろうと
する。




