荘厳なる少女マグロ と 運動会
"怪人" は
見る事の許されたものを
見る。
見続ける。
"外国人" の親の存在は
いつまで経っても
見つからない。
"外国人" と "ライバルコーチ" の
繋がりも見えない。
端緒が
ない。
兆しすら
ない。
ただ…――わかる事もある。
わからない事が……
――見る事で………
――そして……
――分析する事で…
”どの様にわからないか?”
が、わかる様になる。
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データの上で、
"外国人" は
――突然……
その
<国籍を持っている国>
に現われた事に
なっている。
何の前触れも無く。
いくら見ようとも、
その人物の出生地を示す手がかりは
見えなかった。
ただ
その "外国人" が
その国で産まれた訳ではないだろう事は、
”幼児・子供時代のデータが欠如している事”
によって
仄めかされていた。
データを見ると、
その人物は
突然
青年期になって
この世に
出現した様に
見えた。
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記録全体は、
空っぽではない。
"外国人" が
国籍を手に入れた時点で
経歴が作られ始め、
以後、
常にアップデートが
為されている。
しかし
全体的に………――
"怪人":
《こいつは(わ)ぁ……
<空白>
がぁ…
多いぃ……
ねぇ………》
"怪人" は
見続けた。
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<空白>
が在った時、
”二つ”
の可能性が
考えられる。
データが
”最初から
書き込まれていないか”
もしくは
”後になって
そういう加工がなされたか”
である。
最初から書き込まれていない場合、
データは
――単に
――すべて
<空白>
が
<状態>
である。
”ない”
という
<状態>
が在るだけだ。
ただ、
データは最初に存在したが
後になって
見えなくされた [=空白] 場合……
――現代では…
データは
虫食いの様な
<状態>
として
表されるものだ。
一度
書き込まれたデータは…
――どの様な状況になろうとも……
保存され続け、
隠される事があろうとも
――基本的には
消される事がないから、
書き込まれたデータに
<スペース>(虫食い)
が見出されると、
データには
<改変>
が施された事が
わかるのだ。
[現代では、
個人の手による
勝手な経歴改変
――または
――その改変されたデータの公表
は
<経歴詐称>
と見做されており、
それは
禁止された行為であり、
処罰対象である。
現代では
犯罪目的の者くらいしか
それをしない。
その為、
”個人が公開を望んでいない”
または
”国によって公開を禁じている”
事を示す場合、
データは
<スペース>
が活用されて、
隠すべき事を
<空白>
の
<状態>
にしている]
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"怪人" は見る。
"外国人" のデータには
全体的に
<空白>
が多かったが、
<状態>
には
”違い”
が
――ところどころ
見られた。
"外国人" が――
<どこで産まれたか?>
<子供時代
何をしたか?>
――は
”完全な空白”
であった。
虫食いどころか、
データそのものが
すべて
無いのだ。
ただ………――
親
――若しくは
親的存在に関しては
――同じ空白でも……
<スペース>
が活用されていた。
その存在を消すかの様に
塗り潰されたデータ。
以前在ったモノに対する
<空白>
的上書き。
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