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荘厳なる少女マグロ と 運動会

 ―――――――――――――――――――――――――




 "怪人":

 《マ…ママン……。


  わたしは(わ)ぁ………

  あなたぁ……

  だけをぉ…

  信じますぅ……。


  キョウダイをぉ………

  守らなければぁ……

  なりまぁ…

  せぇんんん……。


  邪魔があるならぁ………

  排除しなくては(わ)ぁ……。


  目的のぉ…

  達成のx……

  為には(わ)ぁ………

  犠牲は(わ)ぁ……

  つきものぉ…》




 ―――――――――――――――――――――――――


 ―――――――――――――――――――――――――




 その時だった。




 地上で

 ブザーが

 鳴った。




 ブザーは

 地下には

 鳴り響かなかった。




 表層にだけ伝わる――ブザーの振動。




 響こうが

 響くまいが、

 ”重力スケート”

 の

 <地方大会>

 の

 始まりが

 ――世界に

 告げられた。




 音によって、

 誰もが

 ”それ以前”

 と

 ”それ以後”

 その

 区切りを

 つけた。




 ナレーションが在り……――


 誰もが

 受け入れていた。




 注意して

 聞く者は

 誰も

 いなかったが――


 聞いていた。




 試合は、

 男子ノービスクラスの

 <キテイ>

 から

 始まる

 予定に

 なっている。




 会場には、

 男子ノービスに

 エントリーしている

 ――"怪人" の子供である

 "クローン" が

 ――石を抱いて

 スペースリンクに

 向かう姿が

 在った。




 "マグロ" や "マグロの姉"、

 そして

 "すっぽん" が

 スペースリンク際で

 待機している姿も

 在った。




 その傍には

 コーチ達。




 関係者達。




 家族は

 <観客席>

 にて

 見守っていた。




 その隣には――外国人。




 思い――思い。




 誰もが

 自分と

 自分の周辺の利益を

 考えていた。




 以上の情報を

 一言で示すと………――




 「ガヤガヤ」。




 単純化された――


 <思い思い>。




 ―――――――――――――――――――――――――


 ―――――――――――――――――――――――――




 地下では

 会話が

 続いていた。




 "怪人":

 「見るだけぇ……

  見てぇ…

  みようぅ……

  かねぇ………。


  調査は(わ)ぁ……

  約束ぅ…

  しないぃ……

  けれどぉ………。


  公開されたぁ……

  情報をぉ…

  見るだけぇ……

  ならぁ………

  わたしにもぉ……

  出来るぅ…

  からぁ……

  ねぇぇぇ………」




 それまで示されていた

 ”拒否”

 が

 ――確実に

 転じた事を

 ”感じ取り”、

 "青年の友達" の胸にあった

 <温かさ>

 が

 ――さらに

 育まれ

 行く。




 "怪人":

 「それでぇ……

  君は(わ)ぁ…

  満足ぅ……

  かねぇ………?」




 "青年の友達" の顔は

 輝いていた。




 満足である事は

 言葉なく

 その場に

 示されていた。




 "青年の友達" は、

 夢中で

 頷いていた……――


 よく考えも

 せずに。




 ”GIVSギブス

 の嵌まっていない

 首。




 他が傷ついていても――無傷な場所。




 損なわれていない――前後運動。




 草を食む

 山羊の

 様だった。




 ―――――――――――――――――――――――――




 放牧されながら、

 境界線の内側から

 出る事は

 許されない動物。




 柵を超えようとすると――処罰。




 そして…――




 柵の中を

 自由に

 跳び、

 自由に

 動き、

 同じ山羊同士

 交流して、

 放牧者に

 自身が

 <従順である事>

 を示す。




 服従の報酬として、

 与えられる

 ”おやつ”

 を――


 「……今か」


 「今か………」


 「まだか!?」


 ――と待っている。




 ―――――――――――――――――――――――――




 目の前の頷きを

 見て、

 "怪人" も

 満足を

 覚えていた。




 "怪人" は

 物事が

 自分の

 思い通りに

 進んでいる事を

 危険の兆候とは

 思わなかった。




 ―――――――――――――――――――――――――



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