荘厳なる少女マグロ と 運動会
"怪人":
「抑々ぉ…
何故ぇ……
怪しいってぇ………
思ったんんん……
だぁいぃ…?」
"怪人" は、
導いた。
まっすぐ――見つめていた。
真摯な――フリ。
尋ねられ、
"青年の友達" は、
話した。
海外から
視察に訪れている
”重力スケート協会”
その
<外国人協会員の群れ>
について。
とりわけ
一人の
"外国人" の
動き。
目の動き。
さらに……――
"ライバルコーチ" の
足の動き。
怪しく見える事――すべて。
話した。
―――――――――――――――――――――――――
"怪人" は、
巌の様に
動かなかった。
ただ………――聞いていた。
何も言わない。
そして……――
"青年の友達":
「あのコーチ ["ライバルコーチ"] は
<元・敵国人>
ですし、
あの
"外国人"
は、
<敵国人>
の持つ
”外見的特徴”
を持っています!
あいつ等は
”グル”
だ!!」
――本人なりの結論が
来た。
"怪人" は
無口の
<状態>
で、
聞いていた。
内臓では、
声が
響いていた。
"怪人":
《こいつは(わ)ぁ…
やっぱりぃ……
分かってぇ………
いないぃ……。
もうぅ…
自分がぁ……
何をぉ………
言っていてぇ……
――どれだけぇ…
――社会に於いてぇ……
――問題のある事をぉ………
――言っているかぁ……
わかってぇ…
いないぃ……》
内的声は――
「ウキウキ」
――弾んだ声。
そして………――
ほくそ笑み。
見えない様に――笑っていた。
それでも、
"青年の友達" の目に
映る物は
仮面のみ。
"青年の友達" は
自身の
熱意の迸りに
対し、
仮面的沈黙だけを
返され、
相手が
聞いているのか
いないのか
不安になったが、
話を
続けた。
"青年の友達":
「とにかく
気持ち悪いんです!!!
あんなキモチワルイ――
目の動き!!
足の動き!
暗号だ!!
ゼッタイ
何か
企んでいるに
決まってます!!!」
"怪人":
「……その前にぃ…――」
"怪人" は
話を
変えようと
した。
"怪人":
「――既にぃ……
この国のぉ………
調査権限をぉ……
与えられたぁ…
者がぁ……
君の言うぅ………
<あいつ等>
のぉ……
データをぉ…
――きちんとぉ……
調べているのでは(ぁ)………
ないかとぉ……
考えたぁ…
かねぇ……?」
布石。
"怪人" から
押し出される
壁的質問に対し、
さらに
前へ動こうとした
"青年の友達" は、
押し黙る。
ただ――
”一瞬”
だけ
だった。
"青年の友達":
「勿論!!
勿論
わかってます!
でも………――」
――と
――鼻息荒く
反論しようとした為、
"怪人" は
――片手を挙げて
制止した。
"怪人":
「調査官やぁ……
国防のぉ…
任にぃ……
ある者達は(わ)ぁ………
仕事をぉ……
しているんんん…
だよぉ……?
それをぉ………
信じないのぉ……
かぁいぃ…?」
"怪人" は
反論を
許さなかった。
"怪人":
「調査官んんん……
やぁ………
警察官んんん……
達は(わ)ぁ…
君とぉ……
同じぃ………
<国民>
なんだぁ……。
同じぃ…
国民がぁ……
日夜ぁ………
懸命にぃ……
働いてぇ…
いるんだぁ……。
君は(わ)ぁ………
<同じ国民>
をぉ……
信じないのぉ…
かぁぃ……?」




