荘厳なる少女マグロ と 運動会
幾ら
遺伝子と環境を
整えようとも、
<どちらが
現れるか?>
は、
出てみなければ
わからない。
<社会の中で
どちらが
どれだけ
発生するか?>
という問題に対しても、
絶対に的中する予想方法は
――まだ
見出されていない。
同じ親を持つ
兄弟姉妹のうち、
兄(姉)が
<文明的原始人(PC)>
であり、
弟(妹)が
<文明的文明人(HC)>
である事は
よくある事だ。
同じ遺伝子データを使い
同じ遺伝子加工を施し
同じ環境を与えられた
クローン同士でさえ
一方が
<文明的原始人(PC)>
で、
他方が
<文明的文明人(HC)>
である事も
ある。
ただ
わかっている事は、
<文明的原始人(PC)>
が
――社会の中では
常に
数に於いて
上回っている
という事。
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有名なクローン実験が在る。
同じ遺伝子データを元に
造られた
クローンを
同じ環境に
置いて
比較した
実験だ。
※地上で行うと
人権強制派が
実験に反対し
――裁判でも
――その
――<反対の主張>
――が通る為に
実験は
”宇宙旅行”
という形で
――秘密裏に
行われた。
勿論、
行った者は
後に
処罰対象と
なった。
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先ず、
同じ
<状態>
の
”クローン”
を
いくつか
作る。
その
いくつかのクローンに
同じ形の場所と
同じ状況をあてがえ、
同じ物を与える。
基本的に
クローンは
――各々
その場所の中で
自由に行動する事が
出来るが、
決められた
同じルーティーンは
――最低限
行わなければ
ならない。
同じく
クローンには
――限定された
アクセス権限が
――等しく
与えられる。
※この時、
実験対象に
――相互
交流を
させない。
ソシエテの影響を
除外する
為だ。
また、
クローンには、
行為に対して
同じ報酬と
同じ処罰が
与えられる。
以上が設定された上で、
クローンの成長過程が
観察された。
その時にわかった事。
条件は同じであるにも関わらず、
クローンには
個体によって
<行動>
<状態>
に、
”違い”
が
見られた。
個体差。
報酬を求め続ける傾向を持つ者。
処罰を避け続ける傾向を持つ者。
報酬と処罰に関係なく
行為をし続ける傾向を持つ者。
この実験が
”文明的原始人素”
が考察される
きっかけである。
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大昔には
性善・性悪説
ア・プリオリやポステリオリ
等、
<人間の特徴が
生まれつき備わっているのか、
それとも、
それは
環境によって備わるものか?>
という議論が
あった。
少なくとも
現代では、
生まれつきでも
環境でもない
そんな
”要素”
がある事が
わかっている。
人間が生まれ出て
世界に身を置き、
最初に選択する時に
獲得する
”要素”。
そして
その
”要素”
は、
続く選択によって
傾向を
強化したり
弱体化したり
する。
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