荘厳なる少女マグロ と 運動会
"青年の友達":
「そんな事――!」
[頭を振った]
[が…――
"青年の友達" は
――否定しきれない為に
語尾を
補完
しなかった]
["怪人の妻" は
箱の中に
入った]
"怪人の妻":
《あたしは
あの子の
”ママ”
には
なれない!!
ママと呼ばれたって……――
”ママ”
になんか………――
なれない……》
[空中で
身元調査を続けながら、
"怪人" は
"青年の友達" に
話しかける――]
"怪人":
「仕方のないぃ…
事さぁ……――
これまでにぃ………
起こった事をぉ……
考えればぁ…。
された事をぉ……
考えればぁ………
その様なぁ……
考えにぃ…
至ってもぉ……
不思議でもぉ………
何でもぉ……
ないぃぃぃ…。
わたしは(わ)ぁ……
君をぉ………
非難してぇ……
いないぃ…」
"怪人":
《ゲーゲン……》
[アップデートされている
データに、
目ぼしき物は
ない]
["怪人" は
調査の
枝を
伸ばした]
["青年の友達" は
――ただ
聞いていた]
[頭の中で――響く音]
「ビビビビビ………」
["怪人の妻" は
――箱の中……
内側から
鍵を掛けて…――
閉じ籠った]
"怪人の妻":
《それに……――
あの人は………
あた……
あたしを…
愛して……
ない………》
[見る事なく……――]
"怪人":
「<愛国心>
というものは(わ)ぁ…
素晴らしいものぉ……
だよねぇ………。
国を大事に思いぃ……
皆を大切にしようとぉ…
するのは(わ)ぁ……
――国民である限りぃ………
大切な事ぉ……。
自分にとってぇ…
大切なぁ……
国のぉ………
利益をぉ……
損おうとするぅ…
可能性のあるぅ……
者やぁ………
事をぉ……
<愛国心>
からぁ…
疑う事はぁ……
別にぃ………
――必ずしもぉ……
間違ったぁ…
事では(わ)ぁ……
ないぃぃぃ………。
わたしは(わ)ぁ……
間違った事だとは(わ)ぁ…
思わないぃ……。
誰にでもぉ………
ある事ぉ……
だしぃ…。
君は(わ)ぁ……
<愛国心>
をぉ………
主張するぅ……
団体にぃ…
最近んんん……
アクセスしているぅ………
ようだぁ……
ねぇ…」
"怪人":
《ゲーゲン……》
[狼狽]
"青年の友達":
「ちょっ………――
それって……」
"怪人の妻":
《ゲーゲン…》
"怪人":
「あぁ……――
言い訳は(わ)ぁ………
しなくてぇ……
良いよぉ…。
君がぁ……
どんなぁ………
団体にぃ……
アクセスしようとぉ…
個人のぉ……
自由だしぃ………。
君のぉ……
<健康評価>
にぃ…
傷が付く訳でもぉ……
ないしねぇ………」
"青年の友達":
「そうじゃなくて……――
それって
プライバシーの――」
"青年の友達":
《プロテクトが
かかってる
筈なのに!!!》
"怪人の妻":
《キモチワルイんだよ!!》
"怪人":
「わたしは(わ)ぁ…
君のぉ……
付添だしぃ………――
君は(わ)ぁ……
必要な者がぁ…
必要な時にぃ……
君のぉ………
プライベートなぁ……
データへ(え)ぇ…
アクセスぅ……
する事をぉ………
許可する事にぃ……
同意ぃ…
している……」
"青年の友達":
「いつ………――」
"怪人の妻":
《親子揃って……》
"怪人":
「”戦争負傷者”
としてぇ…
年金を貰うぅ……
申請をぉ………
する時ぃ……
ボタンをぉ…
押したぁ……
筈だよぉぉぉ………
――調査目的のぉ……
――<君のデータ>
――そのぉ…
――利用許可をぉ……」




