荘厳なる少女マグロ と 運動会
「ちゅったらちー」
[それが…――ルールだった]
[<国の最高責任者>
が
自身の持つ
権限を
発動して、
国民全員に
<言わなければならない事>
として
”命令した”
事だった]
"青年の友達":
「……」
"怪人の妻":
《mute………》
"怪人":
「多くのぉ……
――若くしてぇ…
死にゆくぅ……
兵士達のぉ………
最後の言葉がぁ……――
『ちゅったらちー』
――だったのぉ…
だよぉぉぉ……。
わたしは(わ)ぁ………
兵士達がぁ……
亡くなった事をぉ…
遺族にぃ……
伝えなければぁ………
ならなかったぁ……。
戦争のぉ…
<英雄>
達のぉ……
家族にぃ………
訊かれたんだぁ……――
『あの子の
最後の言葉は
何でした?』
わたしは(わ)ぁ…
涙を流すぅ……
遺族達にぃ………――
『ちゅったらちー』
――というぅ……
<一発ギャグ>
をぉ…
言わなければぁ……
ならなかったんんん………
だよぉ……。
嘘をついてもぉ…
映像がぁ……
残ってぇ………
いるからぁ……
情報開示のぉ…
裁判をぉ……
起こされたらぁ………
遺族にぃ……
虚偽のぉ…
報告をぉ……
したとぉ………
賠償金をぉ……
支払わなければぁ…
ならなくぅ……
なるからねぇ………。
嘘をぉ……
つきたぁ…
かったぁ……。
国の為にぃ………
命を賭けたぁ……
者達のぉ…
尊厳をぉ……
守る事がぁ………
出来なかったんんん……
だぁ…。
殉死するぅ……
者達のぉ………
最後のぉ……
言葉がぁ…
”お笑い芸人”
のぉ……
ネタぁ………
だなんてぇ……――
恥ずかしかったぁ…。
悔しかったぁ……。
死と云うぅ………
<荘厳>
なるものをぉ……
おちゃらけたぁ…
ものにぃ……
貶めたくぅ………
なかったぁ……」
"青年の友達":
「…」
"怪人の妻":
《……あたしを見て………》
"怪人":
「遺族の方々は(わ)ぁ……
誰一人としてぇ…
ネタをぉ……
笑わなかったぁ………。
泣いていたよぉ……。
何も言わずぅ…
泣いていたよぉ……。
そしてぇ………――
怒っていたよ。
『ふざけるな!』
――とぉ……
なじられたぁ…
事もぉ……
あったぁ………。
わたしは(わ)ぁ……
何もぉ…
言えなかったぁ……」
"青年の友達":
「………」
"怪人の妻":
《あたしは本気なんだから!!》
"怪人":
「”お笑い芸人”
がぁ……
<国の最高責任者>
にぃ…
#選挙#
という方法でぇ……
選ばれてぇ………――
『人間には
笑いが
必要だ!!!』
と言い張ってぇ……
<国家最高責任者命令>
でぇ…
大勢にぃ……
自分のネタ――
『ちゅったらちー!!』
――をぉ………
――馬鹿げた挨拶をぉ……
強制ぃ…
したんだぁ……」
"青年の友達":
「………」
"怪人の妻":
《何ちんたら
してやがんだ!》
[沈黙の間]
"怪人":
「当時はねぇ……――
<笑えるかどうか>
――がぁ…
評価のぉ……
対象ぅぅぅ………
だったんんん……
だよぉ…。
上司のぉ……
ボケにぃ………
ツッコミをぉ……
言わなければぁ…
処罰対象ぅ……
だったんだぁ………。
”ドラフト”
でもぉ……――
『お前、つまんないねん!!』
――とぉ…
上司にぃ……
<判断>
されたぁ………
兵士がぁ……
冷や飯をぉ…
喰わされてぇ……
いたんだよぉ………。
<面白いから>
というぅ……
理由でぇ…――
『お前死ね!!!』
――とぉ……
兵士達は(わ)ぁ………
仲間同士でぇ……
言い合っていたんだぁ…
よぉ……。
それでもぉ………
わたしは(わ)ぁ……
構わなかったぁ…
――ちゃんとぉ……
――仕事がぁ………
――出来るぅ……
――ならばぁ…。
構わなかったぁ……――
実力がぁ………
あるぅ……
ならばぁ…。
しかしぃ……――」




