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荘厳なる少女マグロ と 運動会

 ―――――――――――――――――――――――――


 ―――――――――――――――――――――――――




 古代社会には

 笑える話が

 ある。




 ―――――――――――――――――――――――――




 或るところに

 或る国が

 あった。




 国の代表者を選ぶ為、

 選挙をした。




 投票の結果、

 ”お笑い芸人”

 を


 <国の最高責任者>


 に選んだ。




 「好きだから」




 「マシだから」




 ”お笑い芸人”

 が、

 何かを言う度に

 皆が笑い、

 同意する。




 共感する。




 大勢は、

 溜飲を

 下げる…――




 マトモな専門家を


 「堅苦しい」


 と敬遠しながら。




 しばらくして

 ”お笑い芸人”

 を選んだ

 その国民は、

 外国を

 見る

 機会を

 持った。




 外国では

 <国の最高責任者>

 を、

 選ぼうとしていた。




 選挙が

 行われた。




 ”不動産会社の社長”

 で

 ”卑猥な物を売る”

 事で

 名を売った

 #男#


 が、

 最も多くの

 得票数を

 集めた。




 みんな――


 「好きだから」。




 その時だった。




 ”お笑い芸人”

 を

 <国の最高責任者>

 に選んだ国の国民は、

 ”卑猥な不動産会社の社長”

 を

 <国の最高責任者>

 に選ぼうとする国の国民を


 「ろくでなし!」


 「見る目がない!!」


 「馬鹿だ!!!」


 と非難したのだ。




 古語では

 こういう状況を――


 「五十歩百歩」


 ――というそうだ。




 そして

 その後、

 どちらの国民も

 最悪が起こっても

 知らんぷり。




 ―――――――――――――――――――――――――




 因みに、

 賢い者は

 ”お笑い芸人”

 も

 ”卑猥な不動産会社の社長”

 も

 選ばない。




 ただ――


 賢い者は

 数の原理の中で

 優先

 されない。




 ―――――――――――――――――――――――――


 ―――――――――――――――――――――――――




 "怪人":

 「それでぇ……

  話とは(わ)ぁ………

  なんだねぇ……?」




 質問に対し、

 "青年の友達" が

 くちを開き、

 切り出そうとした――




 その時だった。




 "怪人" は

 態度を

 変えた。




 "怪人":

 「ちょっとぉ…

  失礼ぃぃぃ……」




 仮面は外さなかった。




 "青年の友達" は

 目の前の変化を

 確認し、

 言い澱む。




 "怪人" が、

 何食わぬ顔で

 指を

 動かす。




 その目には、

 <アンスタント・テキスト>

 が

 示されていた。




 "怪人":

 《ママン………》




 それは

 暗号化されて

 いなかった。




 ただ……――




 目の前にいる

 "青年の友達" には、

 <何が行われているか?>

 が

 見えないから、

 何も

 問題では

 ない。




 "怪人":

 「どうぞぉ…

  必要なぁ……

  話をぉ………

  してぇ……」




 "怪人" は

 話を進めるよう

 促しながら、

 手を逆さにして

 掌を

 相手に

 見せていた。




 宙を

 睨んでいた。




 "青年の友達" は

 その時、

 

 置いた。




 その間に

 "怪人" は

 テキストを

 開いていた。




 通信は

 "怪人の妻" から

 であった。




 「至急」




 ――と記されていた。




 "怪人":

 「どうぞぉぉぉ…

  話をぉ……

  続けてぇぇぇ………」




 "怪人" は

 "青年の友達" を

 見て

 いなかった。




 "青年の友達" は

 それを知りながら、

 "怪人" の命令に

 従った。




 三重奏の

 始まりだ。



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