荘厳なる少女マグロ と 運動会
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
"怪人":
《ママン…
――イルフォフェランコォールゥ……。
ママンン………
――”ヌマブスゥードレパ!”。
メームスィプールヴゥ……
――プールモンエタッ…
ダンレタッ……》
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
"怪人" と "青年の友達" は
道の上を
歩いた。
目的の場所に
辿りついた。
"怪人" と "青年の友達" が
近づくと、
壁が一部
欠けた。
壁が欠けた場所の前に
二人は
立った。
―――――――――――――――――――――――――
欠ける事によって、
領域は
増える。
ただ
欠けた分が
増える訳では
ない。
欠けた分は
壁に取り込まれる………――
それだけ。
見えない場所に
収まる
だけ。
欠けようが
欠けまいが
全体は
変わらない。
―――――――――――――――――――――――――
壁が欠ける前、
壁の奥は
”真っ暗”
だった。
そして……――
動く
<物>
は、
なにも
なかった。
そんな奥にも
壁が
在る。
黒い奥は
壁で
仕切られていた。
そして…――
<壁の目>
は
働き続けていた。
中の様子を
記録
し続けていた。
―――――――――――――――――――――――――
先は、
明るかった。
他の領域と
同じ位。
欠けた壁の先には
空間が
拡がっていた。
空間は
無限では
なかった。
大人数を
収容する程では
なかった。
<机>
と
<椅子>
が
あるのが
見える。
見た "青年" は
デジャビュを
抱いた。
―――――――――――――――――――――――――
"青年の友達" は
その
<コンフェレンスルーム>
が
以前いた部屋に
《似ている》
と思った。
戦争で負傷した後……
――そして
――病院に
――収容された後………
精神的に
#健康である#
という
<社会的ステータス>
を
手に入れる為に
掛かっていた
”医者”
と対話する時に
利用した
<部屋>
に、
そこは
《似ている……》
と思った。
ただ
<コンフェレンスルーム>
を前にした
その時…――
忘れていた。
医者に呼ばれて
初めて
<部屋>
に入った時、
"青年の友達":
《……ここって………
”インタビュールーム”
みたいだ……》
という感想を
抱いた事を
忘れていた。
―――――――――――――――――――――――――
因みに、
古代社会では
”インタビュールーム”
には
<ジンモン室>
という
別の言葉が
割り当てられていたが、
#ジンモン#
という響きから来る
”大勢が
抱くとされる
否定的な印象”
を避ける為、
”インタビュールーム”
という語が
使用されて
長い。
現代の若者は
<ジンモン>
等という言葉を
耳にしても…
――人工知能の助けを
――借りなければ……
意味を把握する事は
難しいだろう。
<世界軍事裁判>
で取り扱われる
データでも、
<ジンモン>
という
――古代社会では
――頻繁に
――用いられていた………
#容疑者と調査官の関係が
対等にならない#
と見做される
”高圧的”
な言葉は、
避けられている。
傾向ではない。
その言葉を使う事で
裁判の形勢が
変わる為に、
調査官は
使用しない事が
当たり前
なのだ。
―――――――――――――――――――――――――
"怪人":
「どうぞぉ……」
"青年の友達" は
誘われた。
二人は
<コンフェレンスルーム>
に
入った。
二人が
入るや否や、
欠けた壁が
埋められて…――
<密室>
が、
出来上がる。




