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荘厳なる少女マグロ と 運動会

 ―――――――――――――――――――――――――


 ―――――――――――――――――――――――――




 "怪人":

 《ママン…

  ――ヴォヮシヴォートルアンファンン……。

  ママンンン………

  ――アントリストゥアンディビジュゥ……。

  トゥリステァプリュイールゥ…

  ――ジュヌヴトゥシュパ……》




 ―――――――――――――――――――――――――


 ―――――――――――――――――――――――――




 "青年の友達" は

 壁の上を流れる

 映像を

 見続けた。




 映像の中に、

 大ザールの中

 <観客席>

 と

 <スペースリンク>

 の間にある

 <通路>

 を撮った

 枠組みが

 在った。




 <通路>

 には

 ”恋する少女”

 が

 いた。




 "マグロ":

 《いた》




 "マグロ" は

 憂鬱

 と

 二つの

 ”重力ストーン”

 を

 抱きながら、

 遠くを

 見つめていた。




 <観客席>

 を見つめていた。




 それまで

 ジャンプの事ばかり

 考えていた

 少女は、

 座り

 項垂れる

 "青年" を

 見つけていた。




 見つけられた "青年" は、

 少女の視線に

 気付いていない

 様子を

 見せていた。




 だからこそ………――




 "マグロ" は

 見つめ続ける事が

 出来た。




 そして

 二人は

 ”他の誰か”

 から

 見られている事に

 気づいて

 いない。




 気にして

 いなかった。




 ―――――――――――――――――――――――――




 ジャンプについて考え、

 次にまたジャンプについて考える

 その境目で、

 少女は

 <恋>

 について

 考えていた。




 ただ……――




 それは

 <恋>

 の形を

 していなかった。




 それは

 ”イメージ”

 であった。




 過去に在った事――体験した事。




 《あの時の》――




 「タッチ」




 そして…――




 ―――――――――――――――――――――――――




 過去の映像を見ていると

 身体に温かみを覚える

 事がある。




 それは

 ”暑さ”

 に転じる。




 ―――――――――――――――――――――――――




 少女は

 皮膚の上を

 静電気が八人

 百メートル走をした

 そんな様に

 思った。




 最後のランナーが走りきり、


 「prick」


 が

 ――皮膚から

 なくなった

 と思った時、

 "マグロ" は

 ――自ら

 身体を

 震わせた。




 少女は

 首を

 振った。




 恋を

 否定していた。




 ―――――――――――――――――――――――――




 そんな

 <少女の恋>

 <葛藤>

 に関して、

 "青年の友達" は

 興味を

 持たなかった。




 そもそも

 "マグロ" に

 関心を持って

 いなかった。




 寧ろ、

 ”"ライバルコーチ" がいる”

 事に、

 注意を

 払っていた。




 "ライバルコーチ" は

 <通路>

 で、

 ”"すっぽん"

  ではない少女”

 に

 話しかけていた。




 その挙動を

 "青年の友達" は

 目で

 追っていた。




 "怪人" の手が止まった。




 "青年の友達":

 「声を聞く事は

  出来ませんか?」




 "怪人" に

 尋ねた。




 "怪人" が

 目を

 動かした。




 "怪人" は

 何も

 言わない。




 "青年" は

 壁を

 指さした。




 本人は

 ――特定の画像を指さず

 出鱈目に選んだ

 つもりで

 あったが、

 指差された場所は

 "ライバルコーチ" を映した映像

 その正反対

 だった。




 その

 指先が示す方角は、

 "外国人" が映る動画からも

 離れていた。




 無差別に選んだようで

 作為的に行った選択を

 示したまま――




 "青年の友達":

 「この映像の音声って……――」




 "怪人":

 「君には(わ)ぁ………

  <無理>

  だしぃ……

  許可するぅ…

  つもりもぉ……

  ない」




 語尾が

 <断固>

 を与えていた。




 眩い………――目力めぢから




 一方では植物の生育を助け

 他方では植物を枯らそうとする……――


 そんな光。




 そして…――




 それは

 大抵

 無関心

 である。



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