荘厳なる少女マグロ と 運動会
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"怪人":
《ママン…
――ル・ノンエートルゥ……。
ママンンン………
――セブキジュブゥゥゥ……。
プックワクゥ…
――ジュヌヴゼパァ……》
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"怪人" は
指を
動かし
続けた。
箱の中から
出る事なく、
立ち止まっていた。
"青年の友達" は
箱から出た場所で
動かなかった。
ただ………――待っていた。
見ながら。
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”重力スケート”
の地方大会となる
会場は
<多目的ザール>
であった。
地上に
――多く
壁で区切られた領域
が在るのと
同じ様に、
地下に
多くの
領域
が在った。
ただ……――
上下対称
では
ない。
地下の方が
地上よりも
人間のアクセス可能領域は
少なかった。
許可の問題ではない。
開拓可能性の問題だ。
そんな、
人間が用立てる事の出来る
地下の僅かな領域の中に、
<コンフェレンスルーム>
が作られていた。
”重力スケート”
の地方大会が開催される
という様な場合では、
選手や関係者達は
地上の利用だけで
運営を賄う事が出来たが、
より大きな集会
――政治的大会
――国際的大会等…
が開かれる時……
――そして
――災害がある時
――等………
は、
<コンフェレンスルーム>
が
利用される事も
あった。
ただ……――
基本的に
地下が利用される機会は
――限りなく
少ない。
大勢は
必要ない限り、
入る事が
出来なかった。
必要があっても
"青年の友達" 程度の
<状態>
では
――"怪人" と一緒
――でなければ…
入ろうとしても
叶わない。
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<許可>
を得てない者が
入ろうとすると、
拒絶される。
そんな――特別な場所。
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"怪人" は
幾人か
地下利用者を
確認した。
”ソレ等”
は皆、
<二人一組>
だった。
”ソレ等”
は皆、
<コンフェレンスルーム>
にいた。
多数在る
<コンフェレンスルーム>
その
別々の部屋で
”ソレ等”
が
固まっている
<状態>
を
"怪人" は
目で
確認した。
"怪人" は
<カップル>
達を
パルクリールする。
偶数で構成された
”ソレ等”
の中に、
"怪人" の
知り合いは
いなかった。
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"怪人" は
”ソレ等”
が
具体的に
<誰であるか?>
を知る事が
出来たが、
<何をしているか?>
を
見る事は
出来ない。
それは、
"怪人" レベルでは
アクセスする事が
許されない
領域
であった
からである。
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存在を
――ひとつ
――ひとつ
特定する。
地下で
秘密裏に
活動する
”ソレ等”
は
――社会的には
――そして
――組織に於いて
上の位にいる者
だった。
経済的に
裕福な者達
であった。
”ソレ等”
は、
”重力スケート”
にタグづけられる
<存在>
ではあったが、
”重力スケート”
を行う者達
では
なかった。
"怪人" は
<カップル>
達の中に、
目的の者の姿を
見つけなかった。
顔色を変えなかった。
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