荘厳なる少女マグロ と 運動会
そこは
”箱の中”
であり、
”地下”
であった。
そして…――
地上
と
地下
は
空間的に
繋がっていた。
そして……――
その
繋がった空間
の中だけで、
箱は
動く事が
出来た。
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立方体の箱は
<コンフェレンスルーム>
に
直結する事が
出来た。
ただ
その時は、
そう
ならなかった。
その日は、
”重力スケート”
その選手と
その関係者
のみならず、
”重力スケートファン”
等、
大勢が
――地上と地下を含めた
――総合的
会場に
いた為に、
箱の利用可能領域は
制限されていた。
―――――――――――――――――――――――――
何より………――
"怪人" は
目的の場所に
箱を据える
必要が
あった。
―――――――――――――――――――――――――
その時
"怪人" は――
「plot」
「plot」
――と笑っていなかった。
―――――――――――――――――――――――――
箱の中の二人は
目の前で
壁がなくなったのを
見た。
消えた一面の先に
廊下が
見えた。
長く続いていた。
薄暗くは
なかった。
地下は
地上と同じ位
明るかった。
ただ
地上と
地下では
差が
あった。
地下廊下の
<壁>
――<天井>
――そして
――<床>
すべての面は
――地上の様に
単なる壁では
なかった。
壁の表面に
映像が
流れていた。
<壁の目>
が見た
地上の様子が
そこに
在った。
パッチワーク……――
枠の中の模様が
動き続ける。
無秩序に見えて…――秩序立っていた。
"青年" は
見とれていた。
"怪人":
「どうぞ……」
手を
――下手に
前へ
差し出し、
"青年の友達" が
先に出る様に
――"怪人" は
促した。
誘われた "青年の友達" が
サーィユに当たる場所を
通過した。
しかし………――
すぐに
"青年の友達" は
立ち止まった。
何処へ行けば良いのか
わからなかったから。
"青年の友達" は
自身の指を持ち上げ、
マップを
開けようと
する。
その動作を見て……――
"怪人":
「無駄だよぉ…」
――"怪人" が忠告する;
"怪人":
「この地下は(わ)ぁ……
一般人がぁ………
アクセス出来るぅ……
場所じゃぁ…
ない事は(わ)ぁ……
知っているぅ………
だろうぅぅぅ……?」
"青年の友達" は
知っていた。
経験した事がない
だけだった。
"青年の友達" は
宙を払い除ける
仕草を
した。
仕草は
効果的で、
マップは
起こらなかった。
"青年の友達" の
<従順さ>
に対し、
"怪人" は
何も
アクションを
起こさなかった。
怪しい人物が
目指す悪事の成功時に
微笑む様な
わざとらしさは
なかった。
ただ、
"怪人" は
――その時
――逆に
指を
宙に
滑らせ、
マップを
開いていた…――
自分だけが見る為に。
地下
その場所の造りは、
"怪人" の頭の中に
あった。
しかし……――
<自分達以外に
誰が
地下に
いるか?>
その事を
確認する為、
そうした。
計画の為に――細心の注意。




