荘厳なる少女マグロ と 運動会
"蜘蛛宇宙人" の
口から
漏れた…――
「作品」
――が
地に
溜まりを
作った。
”場”
――に
相応しく。
「池」
――となる。
「沼」
――となる。
「池沼」
――の
ペリフェリ。
そして……――
「n」
――回
繰り返される。
―――――――――――――――――――――――――
最後の
一匙を
手に………――
"マグロ":
「もう
これで
最後だよ……――
残りは
無い」。
"マグロ" は
終わらせようとした。
<義務ではない
義務>を
果たそうとした。
その時だった。
"蜘蛛宇宙人" が
動いた。
"蜘蛛宇宙人" は…――
「figure」
――を
動かした。
それまで
向けていなかった方向へ
向いた。
天に向いた。
バーティカルに……――
見る。
それまでの
次元を
消すかの
”様に”。
―――――――――――――――――――――――――
「空」
――を見ていた。
"マグロ" を
視界から
排除していた。
それでも………――
その口は
開いていた。
"マグロ" が
しようとしている事を
拒否して
いなかった。
"マグロ" は
最後の一匙を
"蜘蛛宇宙人" の口
に注いだ。
それは
排除されなかった。
舌の上を
転がった。
それは
受け入れられた。
喉を
通った事が
喉の動きで
示された。
"蜘蛛宇宙人" は
食べた。
飲んだ。
"蜘蛛宇宙人" は
噎せた。
ただ……――
吐かない。
漏らさぬ
”様に”
食い縛られる
歯。
―――――――――――――――――――――――――
"マグロ" は
使おうとした。
<役立たず>
を使おうとした。
<誰も
抱かない
その腕>
を動かした。
そして
先端で…――
"蜘蛛宇宙人" に
触れた。
表面を
擦った……――
如何なる
愛撫よりも
優しく。
如何なる
”母親”が
子にするよりも
優しく。
―――――――――――――――――――――――――
"蜘蛛宇宙人":
「U………」
"蜘蛛宇宙人":
「……Uuuuu…」
"蜘蛛宇宙人":
「UUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU!」
繰り返しが
起こる。
ただ……――
繰り返しは
起こらなかった。
"蜘蛛宇宙人":
「………あ……」
"蜘蛛宇宙人":
「…あぁぁぁぁ……」
"蜘蛛宇宙人":
「あああああああああああああああああああああああ!!」
叫んでいた。
そして………――
"蜘蛛宇宙人":
「……草だ…」
"蜘蛛宇宙人":
「草の……
<におい>
が………
する……」。
”笑う者”は
誰も
いなかった。
”下劣”は
いなかった。
誰も
いなかった…――
"マグロ" 以外。
―――――――――――――――――――――――――
"蜘蛛宇宙人":
「ボクは……
これを………
知っている……」
"蜘蛛宇宙人":
「でも…
これまで……
食べた事が………
無い……」
"蜘蛛宇宙人":
「知っていたけど…
知らなかった……」
"蜘蛛宇宙人":
「これが………――
<七草>
――っていうんだね……」
―――――――――――――――――――――――――
"蜘蛛宇宙人":
「初めてだ…」
"蜘蛛宇宙人":
「薄い……」
"蜘蛛宇宙人":
「薄すぎる………」
"蜘蛛宇宙人":
「<ライトノベル>
みたいに……――
薄い…」
"蜘蛛宇宙人":
「でも……
これは………
<ライトノベル>
じゃない……」
ライトノベルであり
ライトノベルではない。
ライトノベルの部品で
出来ているが、
ライトノベルではない。