荘厳なる少女マグロ と 運動会
"蜘蛛宇宙人" は
動かなかった。
「目」
――さえ
動かさなかった。
"マグロ":
「もう
食べる為に
起き上がる
気力さえ
無い?」
"蜘蛛宇宙人" は
何も
言わなかった。
体を
動かさなかった。
ただ…――
体液を
漏らしていた。
垂らしていた。
溢していた……――
<だらしなく>。
"マグロ":
「じゃあ、
わたしが
食べさせて
あげようか?」
"蜘蛛宇宙人" は
首肯しなかった。
首で
否定を
示しさえ
しなかった。
ただ………――
漏らし続けた。
放置していた……――
それまで
多くの
犠牲者達が
繰り返した
”様に”。
それは
現状維持では
ない。
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"マグロ":
「本当に
人って
馬鹿だよね。
成長しても…
――いつまでも……
”良い”………――
『年』
――して
赤ちゃんみたいに
あやしてやんないと
いけないんだから。
優れていても
手を掛けて
やらないと
いけないんだから」
"マグロ" は
別の……――
「道具」
――を
出し、
それを
用いて…――
「道具」
――の中に
湛えられた……――
「作品」
――を
掬った。
自動生成
を続ける
”劣った”
人工知能の
”様に”。
そして………――
「作品」
――を
"蜘蛛宇宙人" の口に
運んだ。
機械的に
運んだ。
入れられた
それは
熱過ぎなかった。
冷た過ぎなかった。
熱くはないが
熱かった。
冷たくはないが
冷たかった。
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"蜘蛛宇宙人" は
拒否しなかった。
ただ……――
受け入れない。
飲み込まない。
それは
垂れるが
まま。
零れるまま。
「作品」
――は
#漏れるがままの
体液#と
”同じ”
位…――
「重力」
――に従って
動いていた。
"蜘蛛宇宙人" は……
――最早………
噛もうと
していなかった。
最初から……――
味わおうとは
していなかった。
素振りさえ
見せなかった。
ただ…――
垂れ流される。
ただ
"蜘蛛宇宙人" の
足に……
――ボディに………
「pouvoir」
――は
戻らない。
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<重力>
への
無抵抗を
見て……――
"マグロ" は
体液を
漏らしていた。
泣いていた。
"マグロ":
「食べなきゃ…――
食べなきゃ。
食べなきゃ……――
立てないよ………。
起きないよ……――
起こせないよ…。
このまま……――
終わっちゃうよ………。
終わっちゃうよ……。
あなたが
ヤらなきゃ
誰が…――」
繰り返しながら
"マグロ" は
袂で
自身の目元を
拭った。
再び
湧き上がってきた
体液の流出を
押し留めようとした。
繰り返しを
止めようと
した。
ただ……――
"マグロ":
「ほら………――」。
"マグロ" は
諦めなかった。
"マグロ" は
繰り返した。
「作品」
――を
与える。
"蜘蛛宇宙人" も
繰り返した。
「作品」
――が
垂れ流される。
「E」
――が
垂れ流される。
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