荘厳なる少女マグロ と 運動会
ただ…――
立ち去らなかった。
"マグロ" は
先へ
進まなかった。
後へ
戻らなかった。
ただ……――
道を
外れていた。
"マグロ":
《終わってない》
”同じ”
地点の周囲を………
――ペリフェリを……
放浪する。
"マグロ":
《終わってなんかない》
長くて
短い
時間。
"マグロ":
《終わろうとも
終わってない…――
始まっても
終わっていない》
そして……――
材料を
集めた。
”要素”
をかき集めた。
そして………――
加工した。
合成させた。
そして……――
「道具」
――の中に
その
加工物を
入れた。
そのまま…――
"蜘蛛宇宙人" の
いる地点へ
戻った。
直ぐに。
<直ぐではないが
直ぐ>
ではない。
「直ぐ」。
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”劣っている者”は
既に……――
「わかっている」
――気になっている。
ただ………――
わかっていない。
"蜘蛛宇宙人" の
本当の……――
<正体>。
「”悪徳令嬢”」
――ではない
<それ>。
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―――――――――――――――――――――――――
放置された
"蜘蛛宇宙人" は
倒れたまま
繰り返していた。
それまでを
繰り返していた。
虫は
いなかった。
ただ…――
縛られたまま。
”ヒューマニズム”に
縛られていた。
そして、
自分の……――
「言葉」
――に縛られていた。
縛る者は
縛られていた。
それは………――
「バインド」
――ではない。
「restraint」
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―――――――――――――――――――――――――
「self-restraint」
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"マグロ" は
<無表情>で……――
"マグロ":
「新しい…――
『年』
――なの。
昔から
繰り返している
新しい……――
『年』。
何度も
生まれて
何度も
終わる。
繰り返す。
でもね、
もう
最後の………――
『除夜』
――は
終わってる。
『1』
――のそれは
終わってる。
鐘の音は
響いていない。
『在る』
――と
仮定したとしても、
その余韻さえ
終わってる。
その時に……
――終わった時に…
昔から
ずっと
繰り返しているもの……――
知ってる?
外国では
繰り返されて
いない。
この………――
『国』
――で
繰り返されている事。
ループする……――
『除夜』
――の後に
ループする
習慣。
何度も
繰り返される
新しい…――
『年』
――に
繰り返されている事」
そして……――
"マグロ" は
差し出した。
「ars」
――を差し出した。
"蜘蛛宇宙人" は
動かなかった。
"マグロ" は………――
「作品」
――の入った……
「道具」
――を
"蜘蛛宇宙人" の…――
「figure」
――の前に
置いた。
見せた。
「すべて」
――を見せた。
"マグロ":
「ほら……――
食べて」