荘厳なる少女マグロ と 運動会
横たわったまま…――
自身によって
自身の口を
塞いだ
"蜘蛛宇宙人" は
"マグロ" を
見ていた。
ただ、
いくら
見られようと、
"マグロ" は……――
泰然自若。
"マグロ":
「立ちなさい………――
何度でも
繰り返しなさい。
わたしは
ここに
いるから。
あなたの
傍に
いるから。
わたしは
その他大勢と
違うから。
わたしは
逃げたりなんか
しないから」
"マグロ" は
繰り返そうと
していた。
"蜘蛛宇宙人" を
繰り返そうと
していた。
ただ……――
そうして
いなかった。
"マグロ" は
繰り返しながら
繰り返さない。
「女」
――は
抱かなかった。
"蜘蛛宇宙人" の
”様に”…――
「具体的」
――に
引き上げようとは
しなかった。
"マグロ" は
違うから。
"蜘蛛宇宙人" では
ないから。
見ているだけ。
―――――――――――――――――――――――――
その後……――
"蜘蛛宇宙人" は
繰り返した。
"マグロ" も
繰り返した。
うんざりする程。
ただ………――
うんざりしても
繰り返した。
そして……――
何も
進展は
起こらなかった。
繰り返しが
続く。
ただ…――
続く。
ただ……――
繰り返しは
繰り返されて
いなかった。
"蜘蛛宇宙人" の
動作は
遅れ始めていた。
繰り返される度に、
"蜘蛛宇宙人" の………――
「frequency」
――が
弱まっていった。
そして
繰り返しの中で……――
<スパンで
起こる事>が
減っていった。
そして…――
"蜘蛛宇宙人"の
意志と
行動が
一致しない時が
来る。
「n-1」
――回
繰り返した後、
"蜘蛛宇宙人" は
呻き、
悶える。
"蜘蛛宇宙人":
「U……」
"蜘蛛宇宙人":
「………Uuuuu……」
"蜘蛛宇宙人":
「UUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU!」
"蜘蛛宇宙人":
「can!!」
繰り返す。
ただ…――
起きない。
起こらない。
出来ない。
言わない……――
"蜘蛛宇宙人" は
告白しない。
それでも………――
「無理」。
その時、
立ち上がろうとする前の……――
「起きる」
――という…
「event」
――そのものが
欠如していた。
―――――――――――――――――――――――――
遅れていく
繰り返しの中で、
繰り返しは
起こらなかった。
ただ……――
起きていた。
未だ………――
目は
開いていた。
「flat」
――なまま……
"蜘蛛宇宙人":
「U…」
"蜘蛛宇宙人":
「……Uuuuu………」。
地に横たわる
"蜘蛛宇宙人" は……――
「泣いている」
――”様な”
音を
立てた。
ただ…――
泣かずに。
立たずに。
欠けたまま。
対し……――
"マグロ":
「もう………――
終わり?
これで
終わるの?」。
”二本足で
立つ者”が
言う。
上から目線で
言う。
"蜘蛛宇宙人" は
返さない。
ただ……――
黙って
横たわっていた。
「figure」
――を
背けていた。
流されようと
していた。
その…――
「目」
――を
閉じようと
していた。
そして
"マグロ" は
それを
確認した。
"マグロ":
「そう……――
終わったの………」
"マグロ" は
俯いていた。
"マグロ":
「終わったんだ……」
ただ…――
"マグロ":
「古い……――
『年』
――は
終わったんだ。
もう、
新しい………――
『年』
――が
始まっている」。
"マグロ" は
背を
向けた。
"マグロ" は
道から
逸脱した。
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