荘厳なる少女マグロ と 運動会
"蜘蛛宇宙人" の
震えが
止まった。
"蜘蛛宇宙人" は
横たわったまま
静止していた。
ただ…――
見ていなかった。
聞いていた。
上から
声が
やってくるのを
受け止めていた。
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
"マグロ" は
抱いた事が
あった。
抱かれた事が
あった。
"蜘蛛宇宙人" と
出会い、
別れた……――
「年」
――以降も
腕を
使い続けた。
囲い続けた。
挨拶としてのハグ。
恋人とのハグ。
愛情表現としてのハグ。
家族とのハグ。
優しさを示すハグ。
労いを示すハグ。
お世辞と
甘言としての
ハグ。
ただ………――
"マグロ":
《あなたみたいに
抱いてくれた
<人>
はいなかった。
ひとりも
いなかった》。
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―――――――――――――――――――――――――
長いが
短い時が
過ぎた。
"マグロ" は……――
「変わらない」
――事を
見た。
#<目撃した
"マグロ">に
起こっている
体液の流出#が
止まっていた。
"マグロ":
「たぶん
もう
忘れたんでしょうね…――
きっと
そう。
わたしは
”通行人1”。
あなたが
そうであったのと
”同じ”。
わたしが
忘れてしまったのと
”同じ”
”様に”
あなたは……
――もう………
忘れたんでしょう……。
でもね…――
でもね。
だからといって……――
『無い』
――という事には
ならない」
対し………――
無反応と
無関心と
無視。
それでも
"マグロ" は
繰り返す。
"マグロ":
「立ちなさい」
命令。
"蜘蛛宇宙人" は
動かない。
"マグロ" が
そうしなかった
”様に”。
不服従に対し……――
"マグロ":
「立って!」。
”同じ”だが
違う事が
繰り返される。
懇願に対し…――
"蜘蛛宇宙人" は
動かない。
"マグロ":
「あなたは
立たなければ
ならない!!
どこの
誰が……――
『しなければならない!!!』
――という言葉を
好こうが
嫌おうが
あなたは
立たなければ
ならない!!」
繰り返し。
暖簾に腕押し。
ただ………――
"マグロ" は
諦めなかった。
そんな
"マグロ" は
気づかない。
その時
"蜘蛛宇宙人" は……――
「繰り返してはいない」
――という事。。
"後輩" を…――
「あなたとは
話しても
無駄です」
――という台詞を
ループしていない
という事。
ただ
現象は……――
不動と沈黙。
繰り返される。
ただ………――
"マグロ" は
繰り返しながら
繰り返さない。
"マグロ" の
ループは……
――繰り返しの中で…
入れ替えられる。
"マグロ":
「無理じゃない……」
"マグロ" が
ループだが
ループではない事を
始める。
"マグロ":
「無理じゃない!」
"マグロ":
「無理じゃないんだ!!」
"マグロ":
「わたしが
やらなきゃ
誰が
ヤる!!!?」




