荘厳なる少女マグロ と 運動会
"マグロ" は
変わらないものを
見ていた。
変わらない事を
見ていた…――
思い出しながら。
「誰も
見ていなかった」
――という事。
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「”家族”」
――は
いた。
「”親”」
――は
いた。
ただ……――
それらは
傍に
いながら
傍に
いなかった。
大切な時に
助けと
ならなかった。
必要な時に
必要ではない事を
していた。
「女」
――が………
「『女』
――である事」
――と共に
蹲り、
横たわろうと
する時、
誰もが……――
「そっぽ」
――を向いていた。
”感動”
――していた。
”共感”
――していた。
<恋愛>
――していた。
何かをしながら
何もしない。
「女」
――という
”同じ”
<属
”性”>を
持つ者でさえ…――
「『女』
――である事」
――の
辛さを……
――苦しみを………
「理解して!」
――と叫びながら
"マグロ" を……――
「為そう」
「なろう」
――とする
<”同”
”性”>
を理解しようとは
しなかった。
相互理解と
相互尊重を
求めながら、
自身は
しない者達。
素晴らしい事…――
「”優れている”事」
――が
自分には
わかると……
――”感じる”と………
錯覚している者達。
大勢が
いた。
ただ……――
誰も
いなかった。
誰も…――
"蜘蛛宇宙人" 以外。
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"マグロ":
「あの時……――」
鐘の音は
無かった。
そして………――
"マグロ":
《鐘の音が
無い》
"マグロ":
《そうだ……――
終わっていたんだ》。
"マグロ" は
過去を…――
「年」
――を
思い出していた。
「除夜」
――を
思い出していた。
「年」
――の……
「瀬」
――の間に
それまでを
ループする事で………――
「為した」
――事。
ぼやけていた
過去が
クリアに
見えた。
自身が
通過してきた
過去。
「為した」
――後も……
――進みながら…
――後退しながら……
続けた
ループ。
"蜘蛛宇宙人" が
ずっと
平行していた事。
止まり掛けていた
体液の流出が
再び
加速した。
"マグロ":
「………あ……」
"マグロ":
「…あ……」
"マグロ":
「………あの時……――
…あの時ぃぃぃ……」
「あの時」
――が
ループする。
そして………――
「hic」。
"マグロ":
「誰も……――
誰もぉぉぉ…」
「誰も」
――が
ループする。
そして…――
「sick」。
"マグロ":
「……誰も
いなかった………。
傍には
誰も
いなかった……。
あなた以外…」
止まった。
声が
掠れていた。
ただ
そのまま……――
"マグロ":
「あなただけが………――
いてくれた。
あなた……――
だけ…」。
継ぎ足す
"マグロ" は
漏らした。
"マグロ":
「『赤』
――の……
<他人>
――の
あなただけが
いてくれた………。
<義理>
なんか
無いのに……――
<義務>
なんか
無いのに…。
『女』
――じゃないのに……。
あなただけが
”読んでいた”」